報恩の寺に色濃き陽光桜
( ほうおんの てらに いろこき ようこうざくら )


瀬戸内海ツアー二日目の午後からは、尾道(おのみち)の生口島(いくちじま)に所在する「耕三寺(こうさんじ)」を訪れた。


 

この寺は、1936年(昭和11年)から伽藍の建立が始められた、浄土真宗本願寺派の新しい寺院。開山したのは、大正・昭和期に活躍した大阪の実業家の金本耕三のちの耕三寺耕三。

彼は、母が1934年に没すると、その菩提を弔うため出家して僧侶となり、同年から母への感謝の意を込めて「耕三寺」の建立を開始した。


*中門


以来、30余年をかけて、日光東照宮陽明門を模した孝養門、平等院鳳凰堂を模した本堂などをはじめとした伽藍が完成した。

現在は、「西の日光」「母の寺」と呼ばれ、瀬戸内海の観光地の一つとなっているそうだ。


*孝養門


本日の掲句は、「耕三寺」を訪れた時、境内の「陽光桜(ようこうざくら)」が満開になっていたことが印象的だったので、そのことを寺の由緒由来に絡めて詠んだ句である。「陽光桜」は、桜の一種で春の季語。

 

ところで、全国の「桜」の約8割を占めるという「染井吉野(そめいよしの)」や白い花の「大島桜(おおしまざくら)」、早咲きの「河津桜(かわづざくら)」、茶色の葉を伴って咲く「山桜(やまざくら)」などは知っている人も多いと思うが、その他では、なかなか名前が覚えられない。



それは、馴染みがないと同時に、際立った特徴がないためだろう。今回取り上げた「陽光桜」について言えば、これまで、名前は聞いたことがあるが、どんな「桜」か全く思い浮かばなかった。



しかし、今回のツアーでは「耕三寺」などいくつもの観光スポットで見ることでき、しっかり覚えることができた。色は「染井吉野」よりも濃く、花茎も一回り大きい。その詳細は以下の通り。



「陽光桜」は、バラ科サクラ属の「桜」の一品種。愛媛県の高岡正明が「天城吉野(あまぎよしの)」と「寒緋桜(かんひざくら)」を交配して作出した「桜」の品種。1981年に種苗法により登録された。



花期は3月中旬~4月上旬で「染井吉野」よりやや早い。花色は鮮やかなやかな紅紫色。一重咲きの大輪の花を下向きに咲かせる。名前は、「天地に恵みを与える日の光」の意で付けられたそうだ。

現在、シンボルツリーや記念樹として人気がある。


*救世観音大尊像


つづく