あけぼのに霞む島かげ露天風呂
( あけぼのに かすむしまかげ ろてんぶろ )


先週末は、瀬戸内海の島々をめぐるツアーに参加した。とは言っても瀬戸内海には700以上の島があり、訪れたの「安芸灘とびしま海道」と「しまなみ海道」に関わる島々などごく一部である。



今日から何回かに分けて、そのツアーで詠んだ句と写真及び概要を説明した記事を掲載したい。尚、本プログでは、訪問先の見どころなどを解説することを目的としていないこと、予めご承知おきいただきたい。



ツアーの第一日目は、新幹線で福山駅まで行き、そこから観光バスに乗り換え、「安芸灘(あきなだ)大橋」を渡り「下蒲刈島(しもかまがりじま)」「上蒲刈島(かみかまがりじま)」「大崎下島(おおさきしもしま)」を訪問し、「大崎上島(おおさきかみじま)」の「きのえ温泉」に泊まった。
*敢えて読みがなを付けているのは、島の名前を覚えやすくするため。旅行案内に読み方が分からない漢字が羅列されていることが多いのにはいつも閉口する。


 

この間いくつかの名所を訪問したが、特に強く印象に残ったものはなかったので敢えて取り上げないが、宿泊したホテルから見る瀬戸内海の景観は抜群だった。


 

ホテルに設置された温泉の露天風呂からは、瀬戸内海にある幾つもの島影が見えたが、翌朝に再び入った露天風呂からは、霞(かすみ)の中に浮かぶ神秘的な島影を見ることができた。

本日の掲句は、そんな様子を詠んだ句である。尚、本句では「霞む(かすむ)」が春の季語となる。

 

*露天風呂から写真を撮ることは禁止されているため、掲載した写真は、宿泊した部屋の窓から撮った。



ところで、上五の「あけぼの」についてだが、「あかつき」などとどう違うのか。以前調べたことがあるので、参考まで以下に再掲した。



気象庁では「明け方」を午前3時頃から日の出頃としているが、古くは順番に「暁(あかつき)」「東雲(しののめ)」「曙(あけぼの)」と区分していた。

 

●暁(あかつき)
日の出前の仄暗い時刻。太陽が出ておらず空は真っ暗な状態。「明時(あかとき)」から転訛。但し、現在は空が白み始める頃を指すことが多い。

●東雲(しののめ)
東の空が明るくなる頃。古代の住居で明り取りに使われた「篠の目」が語源とされる。

●曙(あけぼの)
夜がほのぼのと明けるころ。太陽の昇る直前の最も明るい空のこと。「明仄(あけほの)」から転訛。



今は、必ずしも厳密に区分されて使われている訳ではないが、誤解されているものもある。尚、「枕草子(まくらのそうし)」では、「あけぼの」が以下のように取り上げられている。



春はあけぼの。やうやうしろくなりゆく山ぎは、
すこしあかりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる。

 



つづく