そこかしこ咲いて陽気にたんぽぽ黄
( そこかしこ さいてようきに たんぽぽき )


春は華やかな花を付ける樹木が多いが、目線を下の方に向ければ、いろいろな草花が咲いているのに気づく。

その代表的なものが「蒲公英(たんぽぽ)」で、野原はもちろんのこと道端、河辺など至ると所に咲いている。


 

本日の掲句は、そのことを詠んだものだが、その明るい黄色が見る人を陽気にしてくれる。「蒲公英」はいうまでもなく春の季語。


 

ところで、「たんぽぽ」という花の名前は、これまで、頭花(とうか)や蕾(つぼみ)を鼓(つづみ)に見立て、それを叩いて発する「タン・ポン・ポン」という音が転訛したものと記してきた。


 

しかし、それは必ずしも正しいとは言えず、子供の遊びに由来するということを知り記事にしたことがある。ただ、そのことに触れている記事がほとんどないので、二番煎じになるが、同様のことを以下に記したい。


 

実のところ「たんぽぽ」は、江戸時代に「鼓草(つづみぐさ)」と呼ばれていたが、これは、花茎の一部を切り割いて水につけると、反り返って「鼓」のようになるという子供の遊びに由来するとのこと。(作り方は後掲のYouTubeをご覧いただきたい。)

*「たんぽぽ」の花茎からできた「鼓」


 

頭花や蕾を「鼓」に喩えたという説には、正直少し違和感があったが、それが上記の子供の遊びに由来していると知り解消した。また、「鼓」は小児語で「タンポポ」と呼ばれていて、後に草花の名前も「たんぽぽ」に変化したというのも納得できる。

*「たんぽぽ」の「鼓」の作り方 (ネットより)


因みに、「たんぽぽ」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。

【関連句】
① 原っぱにたんぽぽ咲けるぽぽぽぽと
② たんぽぽの明るき花とはずむ音
③ たんぽぽの絮の旅立ち風任せ



 

①は、近くの公園の原っぱで、草の合間を縫って飛び火のように咲いている「たんぽぽ」を見て詠んだ句。語呂合わせの意識して詠んだ。
②は、「たんぽぽ」が野原一杯に咲いているのを見て詠んだ句。下五の「はずむ音」は「鼓」を意識したもの。
③は、「たんぽぽ」の絮(わた)が風に吹かれ、飛んでいく様子を見て詠んだもの。どこに行き着くかは風任せである。


 

「蒲公英(たんぽぽ)」は、キク科タンポポ属 の野草。在来種は3月から5月にかけて、帰化種は通年開花する。

名前の由来は既述の通りだが、漢字の「蒲公英」は、中国名の漢字表記をそのまま当てられたもの。漢方薬として「ほこうえい」と読む。ただ、何故この漢字なったのかは不明だとか。


「蒲公英(たんぽぽ)を詠んだ句はたくさんあり、これまでも何句か紹介したことがある。今回は記事が長くなったので、参考句の掲載は割愛する。

 

*本記事は日時指定投稿です。現在遠出しており、コメント等への返信は 4月8日以降になります。ご了承ください。