街角にプリムラ咲けるあわあわと
( まちかどに ぷりむらさける あわあわと )


先日行った京都府立植物園では、「春蘭展」の他にも「早春の草花展」が特設会場にて催されていた。自分が行った3月10日が最終日だったようだが、そこに展示されていた多く草花は、今現在、街角でもよくみられるようになってきている。


*プリムラ・マラコイデス


今日は、その一つである「プリムラ」を取り上げたい。「プリムラ」とは、ヨーロッパやアジアに自生するサクラソウ(プリムラ)属 の原種やその変種、またそれらを交配して作られた品種群である。

*プリムラ・マラコイデス


多くの品種があるが、中でもよく知られるのが、「プリムラ・マラコイデス (P. malacoides)」「プリムラ・ポリアンサ (P. polyantha)」「プリムラ・ジュリアン (P.  juliana)」「プリムラ・オブコニカ (P. obconica)」である。

*以下の写真は「プリムラ・マラコイデス 」以外の品種。その他の写真は全て「プリムラ・マラコイデス 」。

*プリムラ・ポリアンサ

 

*プリムラ・ジュリアン 

 

*プリムラ・オブコニカ


特に「プリムラ・マラコイデス (P. malacoides)」は、「西洋桜草(せいようさくらそう)」といわれ、日本に自生している「桜草(さくらそう)」と区分されている。

但し、具体的にどこが違うのか調べてみたが、日本の「桜草」は宿根草で「西洋桜草」は一年草であること、花は「桜草」の方が大きいこと、葉の形が違うことなどが上げられているものの、どうも初心者には見分けがつかないようだ。


*プリムラ・マラコイデス

 

前書きが長くなったが、本日の掲句は、その「プリムラ・マラコイデス」が近くの家の玄関先のプランターで満開になっているのを見て詠んだ句である。

尚、「プリムラ」は春の季語になっているが、日本の「桜草」と同一視して使われていることが多い。


*プリムラ・マラコイデス


因みに、「プリムラ」「桜草」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。


【関連句】
① 紫のプリムラ村に群ら咲きぬ
② プリムラもプリクラも少女時代かな
③ 日の本は桜終えても桜草


*プリムラ・マラコイデス


①は、「プリムラ」の花名から「村」を連想し、語呂合わせを意識して詠んだ戯れ句。
②は、花の色や形が可憐な少女を髣髴とさせ、そのイメージに「プリクラ」を重ねて詠んだ。
③は、小林一茶の句 「我国は草もさくらを咲きにけり」を捩(もじった)て詠んだ句。本歌取り、オマーシュといえば格好良いが。


*プリムラ・マラコイデス


「西洋桜草」こと「プリムラ・マラコイデス」は、サクラソウ科サクラソウ属の一年草。の原産地は中国雲南省。20世紀頃イギリスなどで品種改良され種類も多い。花期は12月から5月までと非常に長い。

日本の「桜草」は、サクラソウ科サクラソウ属の宿根草。原産地は、日本 朝鮮半島など。花期は4月~5月。江戸時代に育種が進み、数百に及ぶ品種が作られたそうだ。


*プリムラ・マラコイデス

 

「桜草」「プリムラ」を詠んだ句は結構あるが、以下には、その中からいくつか参考になるものを選んで掲載した。(過去に掲載したものを除く。)

【桜草等の参考句】
このところいゝことづくめ桜草 /久保田万太郎
これからのこの世のいろに桜草 /和知喜八
さらさらと水そゝぎけり桜草 /飯島みさ子
ちらつきし雪やみにけり桜草 /鈴木花蓑 
プリムラは星のしづくに息づける /阿部みどり女


*プリムラ・マラコイデス