春風にざわめく藪の葉蘭かな
( しゅんぷうに ざわめくやぶの はらんかな )


以前に記したこともあるが、俳句ブログをやる目的の一つは、近辺の散歩中に見かける植物の名前を覚えることにあった。

当初は、写真を撮り図鑑で名前を確認するだけだったが直ぐに忘れるので、俳句を詠みブログに掲載することにした。


 

こうすることによって、その植物のことについて調べるとともに、よく観察するようになり、名前もかなり覚えることができた。

そうはいっても、花や葉、果実などに特徴がないものは、図鑑と照らし合わせても同定できず、当然ながら名前が覚えられない物も未だ多数ある。



今日取り上げる「葉蘭(はらん)」も、最近になって、たまたま植物園で名札を見てその名前を知った。今まで見過ごしていたのは、大きな葉っぱが幾重にも生えているだけで、これといった特徴を見いだせなったからだと思う。



ところが、名前を知った時から近辺を散策すると、公園、寺社の庭などいろんな場所に植わっていることに気づいた。そこで、何か一句と思い詠んだのが、本日の掲句である。



何の変哲もない句だが、「葉蘭」から「波乱」をイメージしてもらえば、最近の国会内外の状況に重なって見えるのではないかと思う。

尚、「葉蘭」は季語になっていないので、「春風」が春の季語となる。



「葉蘭」は、キジカクシ科スズラン亜科ハラン属の常緑多年草。原産地は日本、中国など東アジア。

葉は深緑色で薄いが硬くて艶がある。楕円形で長さが50cmを越えるものもある。密な群落を作るので、地面から大柄な葉が波のように繁茂しているように見える。



花期は3月~5月。花は紫色で多肉質であり、地下茎から出て地面すれすれに咲く。果実は地表に乗っているような姿になる。

*実物をまだ確認できていないので、ネットから写真を拝借した。

*葉蘭の花(左)と実(右) (ネットより)

 

名前は、その葉が蘭に似ていて大きいことから、中国では「馬蘭(ばらん)」と呼称され、それが「はらん」に転訛したといわれている。

関連して、弁当などに入れるプラスチックの「バラン」は、この「葉蘭」に由来するとのこと。



「葉蘭」の葉は、生け花やフラワーアレンジメントにもよく利用される。別名では「馬蘭」の他「青葉蘭(あおばらん)」がある。

季語になっていないこともあり、「葉蘭」を詠んだ句はほとんどないので、参考句は割愛する。