下萌の川辺に遊ぶ土鳩どち
( したもえの かわべにあそぶ どばとどち )
 
*原句一部修正

先日行った「梅小路公園」では、先に取り上げた草花の他にも幾つか春の花が咲いていた。しかし、まだ数が揃っていなかったので、来週辺りから順次取り上げたいと思う。



今日は、公園から帰る途中に鴨川の河川敷を散策したので、その様子を取り上げたい。立春を迎えたので、そろそろ草も萌え始めているのではと思い行ってみたが、以前よりもかなり緑が増えていた。



本日の掲句は、その様子を詠んだ句だが、「下萌(したもえ)」と「土鳩(どばと)」との取り合わせで詠んでみた。*どち:「たち」「ども」との中間に位置する接尾語。



「下萌」とは、早春に、去年の枯草の下に隠れるように草の芽が生え出ることをいい、春の季語になっている。*「下萌」は「下萌え」とも書く。



余談だが、「萌える」という言葉は、もともと「芽が出る。芽ぐむ。きざす。」などの意で使われていたが、1990年代より、主にアニメやアイドル好きの男性が「可愛い・好き」の意味合いで用いるようになったそうだ。



2000年代初頭には“オタク用語”として世間から注目を浴び、その後一般的に浸透してきたといわれている。明確な定義はなく、現在では様々な場面で使われているようだ。



ところで、「土鳩(どばと)」は近辺でもよく見かける鳩で、「河原鳩(かわらばと)」の飼養品種のこと。当初、伝書鳩やレース鳩、ペットとして改良されたものが後に野生化した。原産地はヨーロッパや中央アジアなど。

*土鳩

 

また、身近な鳩に「デデッポポー」と鳴くことで知られる「雉鳩(きじばと)」がいる。この鳩はもともと山地に棲んでいたいたが、今は平地でもよく見かける。名前は、羽の模様が「雉(きじ)」のメスに似てることに由来する。「山鳩(やまばと)」ともいう。

*雉鳩(山鳩)

 

参考句に関しては、「下萌(え)」を詠んだものをいくつか選んで以下に掲載した。


【下萌(え)の参考句】
下萌の小庭に来るや知らぬ鶏 /正岡子規
下萌をふみて不思議に足軽き /富安風生
下萌に二三歩四五歩はづみけり /岸田稚魚
下萌や家の奥処にピアノ鳴る /日野草城 

*奥処(おくか)
下萌や線路幽かに響き来し /橋閒石