蛇の目持つちょっと妖しきエリカ咲く
( じゃのめもつ ちょっとあやしき えりかさく )


先日行った植物園には「四季彩の丘」というエリアがあり、季節ごとに様々な植物が植えられるが、さすがにこの時期、花はほとんど見られなかった。

 

ただ、その片隅に「蛇の目(じゃのめ)エリカ」が数株植えてあって、毎年12月末頃から花を咲かせる。先日行った時は、木全体を覆うように多くの花を咲かせていた。



「エリカ」という植物は、ツツジ科エリカ属の常緑性樹木で、700種類以上の種があるといわれている。樹姿や花期、花色、花形など変化に富み、壺状やベル形のものから細長い筒状のものまである。


 

その一種である「蛇の目エリカ」の花は、ピンク色の小さい花(4mmほど)で、個々の花には黒い葯(花粉袋)が見られる。それが、蛇の目玉のようにも見えることから、この名前がつけられたそうだ。



本日の掲句は、その名前に着目して詠んだ句である。「蛇の目」とは何とも妖しく不気味だと思いつつ詠んだ。尚、「エリカ」は春の季語なので、冬の季語を入れることも考えたが、今回は春の句として残すことにした。



ところで、蛇はどんな目をしているのかと思い、ネットから拝借したのが以下の写真。その目に似ているということで、名前につけられのものに、「蛇の目傘」や「蛇の目ミシン」などがある。

*蛇の目 (ネットより)

 

「蛇の目傘」は傘を広げた模様が確かに似ているが、もっと違った言い方もあったのではないかと思うがどうだろう。

*蛇の目傘 (ネットより)

 


 

「蛇の目ミシン」については、使ったことがないので知らなかったが、ボビンという糸巻きが、「蛇の目」に似た丸い形状だったことから付けられたらしい。

*蛇の目ミシンのボビン

 

話は戻って、「エリカ」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。

【関連句】
① 寒空に数多目さらしエリカ咲く
② 厳寒に咲きしエリカや春来る
③ 暮の春エリカの花は未だ満つ




①は、多くの「蛇の目」を晒しながら咲いている「エリカ」を見て詠んだ句。寒の終わり頃に詠んだ。
②は、2月4日の立春に詠んだ句。厳寒に咲きだし今も咲き続けている「エリカ」にも、遂に春が来たと詠んだもの。
③は、5月初めに詠んだ句。春の終わりになっても花を木全体に湛えて咲いているのを見て詠んだ句。
*「暮の春」とは、春の終わり、晩春のこと。


 

「エリカ」は、ツツジ科エリカ属の常緑性樹木。種類は非常に多いが大部分は南アフリカ原産。「蛇の目エリカ」は、日本でも庭木として定着している種。日本には大正時代に渡来。花期は12月~4月と長い。



「蛇の目エリカ」以外の「エリカ」は、まだ実物を見ていないが、ネットで見るとかなり花姿が違うものがある。実際にそれを見れば、イメージもかなり違ってくるかもしれない。

「エリカ」を詠んだ句はままあるが、記事が長くなったので参考句の掲載は割愛する。