玉簾白さ弥増す残暑かな
( たますだれ しろさいやます ざんしょかな )


今日取り上げる「玉簾(たますだれ)」は季語としては夏に分類されるが、7月の終わりごろから咲き始め10月初め頃まで咲き続ける。



だから、秋の季語にした方が良いように思うが、名前に夏の季語になっている「簾(すだれ)」が付いているため、夏の季語になっているのではないかと思う。

そんな訳で、「玉簾」の句は秋になってから詠むことが多いのだが、大抵の場合、秋の季語を別途入れて詠んでいる。
(関連句参照)



本日の掲句も、下五に秋の季語「残暑」を入れて詠んだ。中七の「弥増す(いやます)」は、「ますます多くなること、ますます盛んになること」をいう。



因みに、「玉簾」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。いずれも秋に詠んだ句で、秋の季語を入れている。


【関連句】
① 道の辺の残暑にゆるる玉簾 
② 秋晴れや輝き失せぬ玉簾
③ 秋涼の光は白き玉簾




①は、まだ残暑が厳しいおり、涼やかに咲いている花を見て詠んだ句。
②は、秋晴れのある日、純白な花が今も光り輝いている様を詠んだ。
③は、秋の涼しい風に吹かれ、白く光っているの様子を見て詠んだ句である。

表現は違うが趣向がほぼ似通っており、今後は別の視点から詠む必要がある。



「玉簾」は、ヒガンバナ(ユリ)科タマスダレ(ゼフィランサス)属の球根草。原産地は南アメリカ。日本には明治初期に渡来し、日本の風土に適応して半野生化した。

 

花期は7月下旬から10月初旬頃まで。花は6弁花で、1本の花茎に1つだけ咲かす。日中咲いて夜には花弁を閉じ、2~3日咲き続ける。



名前は、地中から出る細い葉っぱの集まりを「簾」に見立て、白い清楚な花を「玉」として付けられたとのこと。


*本来の「玉簾」は「ぎょくれん」ともいい、「玉で装飾したすだれ。美しいすだれ」のことをいう。尚、大道芸の「南京玉すだれ」とは無関係。



別名には、雨のあとで一斉に咲きはじめるところから「レインリリー」、「ゼフィランサス」などがある。ピンクの花を咲かす「サフラン擬き(もどき)」は同科同属であり、上記の名前で呼ばれることがある。


*サフラン擬き



季語の季節と咲く時期がずれているせいか、「玉簾」を詠んだ句は意外と少ない。これまで何句か紹介したが、新しい句が見つからなかったので参考句の掲載は割愛する。

 

*本記事は日時指定で予約投稿したものです。現在は遠出しており、コメント等への返信は8月28日以降になります。ご了承ください。