太陽光集めてまぶし姫立金花
(  たいようこう あつめてまぶし ひめりゅうきんか )


昨日までは、気温が低い日が続いたが、予報では、今日、明日と気温が上昇し、明後日辺りから最高気温が20℃前後の日が続くとのこと。


 

だんだんと暖かくなり春らしくなってきたが、花の方も咲き始めているものをいくつも見かけるようになってきた。今日取り上げる「姫立金花(ひめりゅうきんか)」もその一つで、いつもの散歩道のいつもの所で、数十輪の花が一斉に開花し始めた。



本日の掲句は、それらの花が太陽の光を受けて、眩しいくらいに光っているのを見て詠んだ句である。上五の「太陽光」は、最近話題になっている「太陽光発電」を意識したもの。正直、花に太陽光があたって光るのはいいとしても、山地の多くの木々を伐採し、黒いパネルが並べられた景色はいだだけない。

尚、「姫立金花」は季語になっていないが、春に咲く花なので、本句では春の季語に準じるものとして詠んだ。


 

ところで、掲句について、どこかで聞いたような句だなと思われた人もいるかもしれないが、実のところ、松尾芭蕉の以下の句の語調に倣(なら)ったものである。

五月雨を集めて早し最上川



因みに、「姫立金花」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。

【関連句】
① 道の辺にきらきらと姫立金花
② 草むらに光り物あり姫立金花
③ 金暴騰つや光る姫立金花



 

①は、この花が朝日に当たりきらきら輝いていたのを見て詠んだ句。
②は、花弁(実は萼片)に陽が当たり金色にきらきらと光っている様子を見て詠んだ句。中七の「光り物」という語句は宝石がついたアクセサリなどにも用いられる。
③は、ウクライナ危機で金価格が暴騰している頃に詠んだ句。「金暴騰」と「姫立金花」を「金」つながりの取り合わせで詠んでみた。



「姫立金花」は、キンポウゲ科キンポウゲ属の多年草。原産地はイギリスで ヨーロッパからロシアの湿地などに自生。冷涼な気候と湿潤な日陰を好む。



花期は2月~4月。黄色または白色の花を咲かせるが、現在、多くの改良品種があるとのこと。この花には、花弁らしきもの(実は萼片)が6枚から8枚あり、陽が当たると金色に光る姿が美しい。



名前は、花や葉が日本に自生する「立金花」に似ていて、それより小さい花だということで「姫」がつけられた。厄介なのは、「立金花」がキンポウゲ科リュウキンカ属の五弁の花で、「姫立金花」とは同科だが別属であること。花期は5月~7月で「姫立金花」よりも遅い。

季語になっていないせいもあり、「姫立金花」を詠んだ句はほとんどないので、参考句は割愛する。

 

*日本に自生する「立金花」 昨年5月末撮影