順風の葛にもライバル荒地瓜
( じゅんぷうの くずにもらいばる あれちうり )


昨日記した桂川河川敷には「葛(くず)」の他にも、多くの草花が咲いていたが、特筆すべきことは、向かうところ敵なしと思われる「葛」にも、今は強力なライバルがいること。


 

そのライバルの名は、「荒地瓜(あれちうり)」という。名前の通り、ウリ科の草花なのだが、「葛」と同じ蔓性植物であり、他に絡まりながら成長する。


 

桂川河川敷では、その「荒地瓜」と「葛」が同じ場所で勢力争い(バトル)をしているようだが、葉の大きさも同じくらいなので、パッと見たところ、ほとんど区別ができない。


 

本日の掲句は、そんな様子を詠んだ句。順風満帆だと思っていた「葛」にも「荒地瓜」いう強力なライバル(宿敵)がいたとは驚きである。


 

一体いつごろからバトルが続いているのかは分からないが、「荒地瓜」は、日本生まれの「葛」と違って、日本で初めて確認されたのは1952年、それ以降であることは間違いない。

尚、「荒地瓜」は季語になっていないので、本句では「葛」が季語(秋)となる。


 

「荒地瓜」は、ウリ科アレチウリ属の蔓性一年草。既述の通り1952年に静岡県清水港で見つかる。その後、輸入大豆と一緒に入ってきて、急激に増殖し各地に広がり、北海道から九州まで分布する。河原や荒地に多い。


 

花期は8月~10月。雌雄同株で、葉腋から花序を出し、径1センチ位の黄白色の花をつける。雄花には長い柄につく。果実は長卵形の液果で表面に鋭いとげがある。葉は互生し、円心形で浅く5~7裂する。


 

名前は、草姿がウリ科の植物に似ているので「瓜」の名がついたが、実際の果実はまるで似ていない。英名の「burr cucumber」は「棘のある胡瓜」の意。


 

繁殖力が強く、2006年2月から、生態系に害を及ぼす可能性がある「特定外来生物」に指定され駆除の対象になっている。一方、日本原産の「葛」の方は、アメリカで「グリーンモンスター」と呼ばれ、駆除の対象になっている。お互い様といった感じ?

*「荒地瓜」が「葛」を覆っている。


 

「荒地瓜」は季語になっていないので、詠まれた句はほとんどない。よって参考句は割愛する。