こじつけもいい加減にして盗人萩
( こじつけも いいかげんにして ぬすびとはぎ )


昨日は、非常に素晴らしい名前が付けられた「鳳仙花」を取り上げたが、今日は悪い名前の代表格である「盗人萩(ぬすびとはぎ)」を取り上げたい。

先日京都御苑に行った時、「藪茗荷」が繁茂していたことを8月26日の記事に書いたが、実のところ、「盗人萩」も方々でよく見かけた。


*盗人萩(在来種)

 

ところで、その名前について初めて知った時は、何と奇妙な名前だろうと思った。その由来は、果実がコソ泥が残した忍び足の跡に似ていること、花が萩に似ていることによるそうだ。

何かを実際に盗んだのならいざ知らず、そんなことは全くない。たまたま、果実がコソ泥の足跡に似ているから「盗人」なんて、完全なこじつけのでっちあげである。


*盗人萩(在来種) → 豆果は2個の節をもつ

 

本日の掲句は、そんな「盗人萩」に同情して詠んだ句だが、昨今のマスコミによる、ある教団と政治家の関連に関する魔女狩り的な報道にかけて詠んだ。「盗人萩」は秋の季語。(季語としてないところもある。)

*盗人萩(在来種)

 

報道の件については、あまり深入りしたくないが、元総理が、容疑者の勝手な思い込みにより銃殺されたのに、あたかも教団と関係を持った元総理が悪いかのような報道がなされ、更には教団と少しでも接点がある政治家、団体などば悪と決めつけられている。

*盗人萩(在来種)

 

本来なら、白昼堂々と殺人を犯した犯人を憎むと同時に、警護体制の不備を問題とすべきなのに、全く別のところに目が向けられている。こんなことがまかり通れば、第二第三の暗殺、ひいては大規模なテロが起こりかねない。

*盗人萩(在来種)

 

話しは戻って、「盗人萩」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。


【関連句】
① 裏通り盗人萩が忍び咲き
② 分離帯またも占拠や盗人萩
③ この汚名如何に雪がん盗人萩 

*雪がん(すすがん)

*盗人萩(在来種)

 

①は、「裏通り」と「盗人」と「忍び」という言葉の微妙な取り合わせで詠んだ句。
②は、近くの大通りの中央分離帯に、恐ろしい勢いで繁殖し花を咲かせている外来種の「荒地盗人萩(あれちぬすびとはぎ)」を見て詠んだ句。

③は、果実がコソ泥の残した足跡に似ているからと言って「盗人」呼ばわりは酷い。完全な濡れ衣。そんな「盗人萩」の気持ちを慮って詠んだ句である。

*写真は上6枚目までが在来種。下3枚が外来種(荒地盗人萩)

*荒地盗人萩

 

「盗人萩(在来種)」は、マメ科ヌスビトハギ属の多年草。茎は直立または斜上してよく枝分かれし、その茎に沿って3mm程度の淡紅色の蝶形花を咲かせる。花期は7月~9月。

花後に節を持つ2つの豆果ができるが、鉤(かぎ)形の細毛で衣服などによくくっつく「くっつき虫」の一つである。


*荒地盗人萩  → 豆果は4~6個の節をもつ

外来種の「荒地盗人萩」は、原産地が北アメリカ。茎は直立または斜上してよく枝分かれし、その茎に沿って在来種の2倍ほどの淡紅色の蝶形花を咲かせる。花後に節を持つ4~6個の豆果ができる

「萩」で詠んだ句はたくさんあるが、「盗人萩」で詠んだ句はほとんどないので、参考句は割愛する。


*荒地盗人萩