小さきを好む風ありミニ葉牡丹
( ちいさきを このむかぜあり みにはぼたん )


昨日記したように、先週の土曜日に行った植物園では、目新しい花は見られなかったが、花壇の一画を覆うように「葉牡丹(はぼたん)」が植えられていた。


「葉牡丹」は、渦巻き状に重なっている葉が牡丹の花のように華やかで、今や冬季の花壇には欠かせないが、最近特に目立つのは通常のものより一回り小さい「ミニ葉牡丹」である。

 


 

もう何年も植物園に通っているが、特に最近は多くなったきたような気がする。恐らく、様々な寄植えに適し、花壇のデザインもしやすいためだろう。

 


 

それにしても最近は、どちらかというと小さいものを好む傾向にあるように思う。例えば、先日取り上げた「ビオラ」や矮性の「ヒマワリ」「カンナ」など。ペットでも小型犬などが好まれているようだ。


本日の掲句は、そんなこともつらつら考えながら詠んだ句である。中七で使った「風」は「世の中の動き、傾向、風潮」のこと。「葉牡丹」は冬の季語。

 


 

因みに、「葉牡丹」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。


【関連句】
①  葉牡丹が代役務む花の園
②  葉牡丹の渦響きあう花壇かな
③  葉牡丹を植えて園生の年用意

 


 

①は、花の少ない冬季に、その代役としては葉牡丹が活躍しているのを見て詠んだ句。
②は、葉牡丹の渦巻が重なり響きあっている花壇の様子を詠んだ句。
③は、葉牡丹が年末に見て詠んだ句。葉牡丹は今や正月飾りにはなくてはならない植物にもなっている。

 


 

「葉牡丹」は、アブラナ科アブラナ属の多年草。原種はヨーロッパ西南部の海岸地域に自生する「ヤセイカンラン」で、古くより薬草として用いられた。後にキャベツ、ブロッコリー、ケール、カリフラワーなどの食用に改良されるが、「葉牡丹」はその中のケールを観賞用に改良したもの。

 


 

日本には、江戸時代に「阿蘭陀菜(おらんだな)」の名前で渡来。当初は鑑賞用でなく食用として用いられた。その後(江戸中期以降)、「紅白の色合いがおめでたい」「幾重にも重なる葉は吉事が重なることに通じる」という理由で、正月飾り(門松の添え物など)として親しまれるようになったとのこと。

 


 

2月頃から中央部がだんだん盛り上がってきて、4月頃からその先端に菜の花に似た花をつける。しかし、観賞の対象とはされず、大抵薹(とう)が立つ前に処分される。ただ、近年はそれを残して愛でる人も多いとのこと。 

 


 

「葉牡丹」を詠んだ句は結構多い。本ブログでも、これまで数十句掲載したことがあるが、今回はそれ以外のものを選んで掲載した。


【葉牡丹の参考句】
葉牡丹のいとけなき葉は抱き合ふ (日野草城)
葉牡丹の雨滴は百の瞳となりぬ (三上美津子)
葉牡丹の渦のひかりのひびきかな (佐川広治)
ソファーにゐて葉牡丹の真正面 (桂信子)
葉牡丹に抒情詩的な猫の居て (北原志満子)