アマリリス不思議の国の花ならん
( あまりりす ふしぎのくにの はなならん )


近所を散歩すると、園芸で様々な花を育て、玄関先や軒下に置いておられるのをよく見かける。そして、今時々見かけるのが「アマリリス」である。

この花の名前は、NHKの「みんなのうた」で放送された歌を聞き、ずっと以前から知っていたが、現物を確認したのは数年前のこと。


 

その第一印象は、背丈の割には、なんて大きな花なのだろう。しかも色が真っ赤で派手。そんな印象をその時以下のように詠んだ

アマリリス咲いて戸口もデラックス


 

その後、そんな印象を引きずりながら詠んだのが以下の句。

かんばせもまことゴージャスアマリリス


*上五の「かんばせ」とは「顔」のこと。


 

さて、本日の掲句は、少し視点を変えて詠んだ句。「アマリリス」という名前から、童話「不思議の国のアリス」を連想して詠んだのだが、花の形や大きさがいかにもメルヘンチックである。「アマリリス」は夏の季語。

*下五の「ならん」は旧仮名遣いでは「ならむ」。断定の助動詞「なり」の未然形+推量の助動詞「む」で、「…であろう。…だろう。…であるような」の意。


 

実のところ、同じような印象をかつて以下のように詠んだことがある。

メルへンの世界飛びだしアマリリス


 

花を頭としてみると、その姿は3頭身~4頭身である。絵本やアニメに出てくる動植物も体に比し頭や花が非常に大きい。そのことをもっと端的に言えば以下のようになる。

アマリリス三頭身の美人なり


 

「アマリリス」は、ヒガンバナ科ヒッペアストルム属の球根多年草。原産地は中南米で、日本には江戸末期~明治にかけて渡来。名前は、古代ギリシャやローマの詩に登場する羊飼いのアマリリスからとられたとのこと。


 

花期は、4月下旬~6月(春咲き品種)と10月(秋咲き品種)がある。花径10~20cmあり、茎の先に横向きに2~4個の六弁花をつける。花色は、白、赤、ピンク、黄など多彩。


 

「アマリリス」については、意外に多くの句が詠まれている。過去に本ブログで紹介したことがあるが、以下には、それ以外のものを選んで掲載した。

【アマリリスの参考句】
颱風の広間の闇のアマリリス(横山白虹)
アマリリス開く来訪者のやうに(山田弘子)
華やかに咲いても孤独アマリリス(川口咲子)
ブラジルに一期一会のアマリリス(星野椿)
駅名も城址路傍のアマリリス(下村ひろし)