アメリカや風に震える花水木
( あめりかや かぜにふるえる はなみずき )


緊急事態宣言が発令されてから今日で丁度2週間目を迎えた。これから、東京、大阪など指定地域の外出自粛が、どれだけ効果を上げているか、数値でチェックされることになる。

 

 

ここ1週間は感染者も横ばいで推移しているようがが、できれば本日当たりから1日の感染者数が減少に向かうことを切に願いたい。


ところで、今回のコロナ禍では、アメリカの状況が予想外に酷すぎる。感染者79万人、死者が4万2千人で、共に世界一位。

 

 

世界一の経済大国で医療体制も万全と聞いていただけに、今回の惨憺たる状況はまさに驚天動地である。


米国は、良きにつけ悪しきつけ世界の経済をけん引し、世界秩序の形成に大きな影響力を行使してきた。それだけに、今回のコロナ禍の終息とその後の世界の変化が憂慮される。

 

 

本日の掲句は、そんなアメリカの惨状に思いを馳せながら、アメリカ国民に広く愛されている「花水木」にかけて詠んだ。「花水木」は春の季語。


*「花水木」はアメリカの国花と思っていたが、国花は「バラ」だそうだ。

 

 

因みに、「花水木」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。

 

【関連句】
① 碧落に紅き漣花水木
② あまた蝶舞うが如きに花水木
③ 青空がまことお似合い花水木 

 

 

①は、碧落(へきらく)=青い空をバックに、花が咲いている様子を波立つ漣(さざなみ)に喩えて詠んだ。本日の掲句と趣向は同じ。
②は、花を沢山の蝶の乱舞に喩えたもの。 
③は、「花水木」の花が青空をバックに満開になっているのを見て詠んだ句。「花水木」には、やはり青空が似つかわしい。

 

 

「花水木」は、ミズキ科ミズキ属ヤマボウシ亜属の落葉高木で北アメリカ原産。日本の植栽は、1912年に当時の東京市長が、アメリカワシントンD.C.へ桜(そめいよしの)を贈り、その返礼として1915年に贈られてきたのが始まり。

 

 

花期は4月下旬から5月上旬で、葉に先だって白、薄紅(ピンク)、赤などの花をつける。但し、花弁のように見えるのは花を包んでいる総苞(そうほう)と言われるもので、中心の塊が花(序)。


名前は、ミズキの仲間であり、花が非常に目立つことに由来する。別名に「アメリカヤマボウシ」があるが、これは日本の近縁種の山法師(やまぼうし)に似ていることからつけられたとのこと。(最後の写真参照)

 

 

「花水木」を詠んだ句はままあり、これまでも20句以上紹介したことがあるが、以下には、その中で特に好むものを選んで再掲した。


【花水木の参考句】
花みづき十あまり咲けりけふも咲く (水原秋櫻子)
洋館の多き界隈花水木 (松崎鉄之介)
羅漢寺の塀を突き出て花みづき (大堀柊花)
真昼間の空を押しあげ花水木 (伊藤敬子)
花水木咲き新しき街生まる  (小宮和子)

 

*山法師 (花期5月~6月)