原っぱにどっと繰り出す姫踊子草 
( はらっぱに どっとくりだす ひめおどりこそう )


現在、ヨーロッパ、アメリカなどの街中がゴーストタウン化している状況を、テレビ等で頻繁に放映されている。非常事態宣言が出され、外出の自粛要請あるいは禁止命令が出されているためだが、僅かな期間でこんな状況になるとは・・。まさに驚くばかりである。

 


 

日本の首都東京でも、ここ数日で感染者が急増し、都知事より「感染爆発が生じるかどうかの岐路にある」という発表があった。日本はこれまで、他国に比し持ちこたえてきたと言われていたが、欧米の状況変化があまりにも早いので、都知事の言葉も現実味を帯びていた。

 

その一方で、今朝周辺を散歩すると、桜だけでなく、雪柳、連翹、三椏なども満開になり、まさに百花繚乱の状況。明日は、どこかへ花見に行きたいと思っていたが、東京のように自粛すべきかどうか悩ましい。

 


 

さて、本日の掲句は、やはり先日行った植物園で詠んだもの。取り上げた草花は「姫踊子草(ひめおどりこそう)」。様々な樹木が植えてある原っぱでは、春の野草が沢山花を咲かせていたが、中でも「姫踊子草」が、樹木の幹を囲むように勢いよく繁茂していた。

 


 

これらの草花には、新型コロナウィルスが世界で猛威を振るっていることなど全く関係ない。いつもの通り、思い切り春を楽しんでいる感じである。


尚、「姫踊子草」は春の季語だが、単に「踊子草」とすると別の植物(最後尾の写真参照)のことを指し夏の季語となるので注意を要する。

 


 

因みに、「姫踊子草」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。


【関連句】
① そうろそろ出番本番姫踊子草
② 姫踊子草衣重ねて乱舞かな
③ 晴れるや姫踊子草も勢揃い

 


 

①は、2月末頃に詠んだ句。この草花は2月初め頃から咲き出すが、いよいよ本番だねと詠んだもの。
②は、「姫踊子草」が群れ咲いているのを見て詠んだもの。色は些か地味だが、遠くから見ると、人気の女性アイドルグループが衣装を翻し乱舞しているようにも見える。
③は、3月中旬に詠んだ句。冒頭の「晴れるや」は、ヘンデル作曲メサイアの「ハレルヤ・コーラス」などに出てくる「ハレルヤ」をもじったもの。

 


 

「姫踊子草」は、シソ科オドリコソウ属の越年草でヨーロッパ地方原産。明治時代に渡来し帰化した。花期は3月から6月。赤紫色の葉を何枚も重ね、その間から薄紅色の小さな花をいくつか咲かす。白花のものもある。

 


 

名前は、草の立ち姿が、踊子のように見えるから付けられたと思われがちだが、実のところ別に「姫」の付かない「踊子草」という野草があり、それよりも小さいという意味でつけられた。


また、その「踊子草」の名は、花の姿が、編み笠を被った踊り子のように見えることから付けられたとのこと。(最後尾の写真参照)

 


 

「踊子草」で詠まれた句は結構あるが、既述の通り、これは「姫踊子草」とは別種の草花で、中には混同して詠まれているものもある。明確に「姫踊子草」で詠まれた句は残念ながらほとんどないので参考句は割愛する。


*「姫」のつかない「踊子草」 (昨年4月末撮影)