■山形「花笠まつり」 二句


○花笠は女子の華やぐ祭りかな 

( はながさは じょしのはなやぐ まつりかな )
○暑き夜にいよいよ熱き花笠踊り 

( あつきよに いよいよあつき はながさおどり )


東北旅行二日目は、いくつかの名所・旧跡を見学し、夕食後の午後6時過ぎに仙台市の「花笠まつり」会場に向かった。沿道には、既に大勢の見物客が座っていて、踊りの一団が来るのを待っていた。  *掲載した写真は登場順でなく順不同。

 


 

我々は、とりあえずゴール地点近くの予約席(ゴザ)に座したが、暫くして、聞き覚えのある「花笠音頭」に合わせ、何組もの集団が踊りながら目の前を通り過ぎていった。

 


 

特に数十人の女子グループが、手に花笠を持ち、お揃いの衣装で踊る様子は、まことに艶やかだった。

 


 

前日に見た「竿燈まつり」が男の祭りとすれば、この「花笠まつり」は女の祭りと言っても良いだろう。

 


 

本日の第一句は、そんな印象を詠んだ句である。「花笠まつり」は、季語になっていないが、「祭り」は、単独で夏の季語になる。

 


 

因みに、「花笠踊り」は女踊りが中心と言うものの、平成10年ごろには「男踊り」も考案され、最近では地元自衛隊員の力強い踊りが注目されている。

 

*地元自衛隊の男踊り

 

さて、第二句については、踊りの熱気に注目して詠んだ句。この日は夜になっても暑さは和らぐことはなかったが、それにもめげず懸命に踊る踊り手の熱気が伝わってきた。季語は「暑し」(夏)。

 

 

尚、中七で使った「いよいよ」には以下の意味がある。本句では①の意味で使っているが、②、③の意味も多少考慮した。

 

【いよいよ】
①前よりも程度がはなはだしくなるさま。ますます。 
②その時期がついにやって来たさま。とうとう。
③その時期が迫っているさま。
④どちらともいえなかった物事が確実になるさま。確かに。ほんとうに。

 


 

以下は、「山形花笠まつり」の概要。


「花笠祭り」自体は、山形県の各所で開催されるが、山形市で開催されるものが全国的に有名になり、東北四大まつりの一つとして全国に知られるようになった。

 


 

この祭りでは、山形の民謡「花笠音頭」に合わせ、 山形市のメインストリート(約1.2km)を舞台に群舞が繰り広げられる。東北四大祭りで踊りがメインの祭りはこれだけ。

 


 

「山形花笠まつり」の原型は、1963年(昭和38年)に開催された「蔵王夏まつり」のイベントの一つであった「花笠音頭パレード」にあると言われている。

 


 

それが1965年(昭和40年)以降、単独の「山形花笠まつり」として開催されるようになり、現在の形となったとのこと。

 


 

開催期間は、毎年8月5日から7日。踊り手は3日間で約1万5000人。来場者数は100万人以上と言われている。

 


 

「祭り」を詠んだ句はかなりあるが、特に「花笠まつり」を詠んだ句は見当たらないので、参考句は割愛する。