■ 知らぬ地で知らぬ花見る春の旅
( しらぬちで しらぬはなみる はるのたび ) (一部原文修正)
旅行の一つの楽しみは、知らない土地にどんな植物が生っているかを見ることだと昨日記したが、先日の旅行では、岡山のある地域で、これまで見たことのない草花に出会った。花の色や形から多分園芸植物だと思うが、畑らしきところに無造作に植えてあって、一面に繁茂していたので、ここに帰化した植物かとも思った。
本日の掲句は、そんな花を見て詠んだものである。かつてジェリー藤尾が歌った「遠くへ行きたい」のワンフレーズ「知らない街を歩いてみたい」に重ねて詠んでみた。季語は「春の旅」(春)。
さて、花の名前だが、家に帰ってからネット図鑑などで調べた。しかし、どうもぴったり合うものがない。近いものに「ディモルフォセカ」があったが、花の大きさや葉の形が少し違うような気もする。
(以下原文修正:黄色の部分)
そんな訳で、ご存知の方がおられたら、ご連絡いただきたいと記載していたところ、ブロガーの「 山想花 MT3190 」 さんから「姫金盞花(ひめきんせんか)」ではないかというコメントをいただいた。
早速、ネットでその特徴を調べたところ、掲載のものとほとんど一致しており、姫金盞花に間違いないと確信した。そこで、原文の「ディモルフォセカ」の説明に替えて、以下に「姫金盞花」の概要を記載したのでご確認いただきたい。
姫金盞花は、キク科キンセンカ属の一年草。原産地はヨーロッパ、地中海沿岸など。通常の金盞花(唐金盞花)よりもかなり古い時代(10世紀ごろ)に渡来しており、本金盞花(ほんきんせんか)ともいわれている。
茎は冬の間は地面を這うように横に伸び、気温が上がると立ち上がる。草丈は10~20cm。路傍や農地などで帰化状態で見かけることもある。
花期は10月~翌5月(ほぼ通年とも)。頭花は直径2cm~3cm。花色は黄色~橙色。別名に冬咲き金盞花(ふゆざききんせんか)、冬不知(ふゆしらず)などがある。
話は少し変わるが、野原に繁茂している植物の素性を調べて見ると、そのほとんどが帰化植物であることに驚くことがある。
【帰化植物とは】 単に国外から入った植物の意味ではなく、人為的な手段で持ち込まれた植物のうちで、野外で勝手に生育するようになったもののこと(Wikipedia)。従来からその地域で生息・生育する「在来種」に対して「外来種」とも言われる。
一説では日本本土の植物(シダ類まで含む)が約4000種、そのうち帰化植物は1200種と言われている。3大科は、キク科、イネ科、マメ科。
春の野草では、「大犬のふぐり」「姫踊子草」「道種漬花」「西洋たんぽぽ」「オランダ耳菜草」などなど。上げればきりがない。
在来種もあるにはあるが、隅に追いやられているものも多い。残念なことかもしれないが、これが現実であることも受け入れる必要があろう。
結局、植物の世界でも、強いものが生き残る。また、その強さとは、必ずしも個体の強さではなく、種としての生命力、繁殖力、適応力などの強さのようである。
参考句の方は、「春の旅」を詠んだ句をいくつか選んで掲載した。
【春の旅の参考句】
春の旅はげしき海に出会ひけり (阿部みどり女)
思ひ出の街を素通り春の旅 (篠原としを)
パリの月ベルリンの月春の旅 (池内友次郎)
汽車今は地図のこゝゆく春の旅 (石井とし夫)
春の旅海から山へ入りけり (大串章)