春立つも雪こんこんと鳴きにけり 
 ( はるたつも ゆきこんこんと なきにけり )
 
今日は、朝起きると雪が降っていたので、予定を変更して本記事を掲載した。掲句は、今朝詠んだ句だが、4日に立春を迎えたばかりなのに、雪が降ったことを童謡「雪」のフレーズを引用して詠んだ句である。

尚、「雪」は冬の季語だが、本句では「春立つ」を主たる季語とし春の句とした。
 
 
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ところで、雪は「しんしん」と降るのは何となく分かるが、なぜ「こんこん」と降るのだろう。念のためネットで調べたら、とんでもない誤解をしていたことがわかった。
 
実は、あの「雪やこんこん」のフレーズは、正しくは「雪やこんこ」。その意味は「来む」(来い=降れ)と関係し、①「来む来む」(降れ降れ)あるいは ②「来む此」(ここに降れ)と表現したもの。

だから、歌は「雪よ、もっと降れ降れ」とはしゃぎまわっている様子を表現したもので、決して雪が「こんこん」と音を立てて降っている様子を表したものではない。

とはいえ、雪が「こんこん」と降るというのは何となくほのぼのとした感じがあり、掲句では、更にそれを鳴き声に擬して詠んでみた。

それにしても、昔歌った童謡の歌詞を今改めて読むと、意味を全く知らなかったり、誤解しているものが多いことに気づく。文語で難しい言葉も多かったせいか、音楽の先生もあまり説明してくれなかったような気がする。
 
もっとも小学生では、説明されても理解できなかったかもしれないが・・・。
 
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因みに、「春の雪」「春雪(しゅんせつ)」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。

【関連句】
① 春雪を被く真っ赤な椿かな     
*被く(かずく)
② 春の雪スローテンポに鹿威し    
*鹿威し(ししおどし)
③ 春の雪余計なことよと思いけり
 
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①は、方々で見られるようになった藪椿の真っ赤な花に積もった雪を見て詠んだ句。白と赤の取り合わせが印象的だった。
②は、春雪が積もったある寺の境内で、その静けさを破るようにカーンという鹿威しの音が聞こえてきた時のことを詠んだもの。
③は、3月に思いがけなく降った雪を見て詠んだ句。だんだん春らしくなってきた矢先の雪だったので「今更余計なこと」と感じた。
 
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参考句は「春の雪」「春雪」を詠んだものをいくつか集めてみた。

【春の雪等の参考句】
春雪のしばらく降るや海の上   (前田普羅)
苔に著くまでの大きな春の雪   (阿波野青畝)
地階の灯春の雪ふる樹のもとに (中村汀女)
春雪のとまりし肩をたゝきあふ   (石橋秀野)
まばたきて睫の濡れし春の雪    (行方克己)
 
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