■ ゆるゆるとスローライフや川蜻蛉
                         ( ゆるゆると すろーらいふや かわとんぼ )
 
 
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川蜻蛉の一種である羽黒蜻蛉(はぐろとんぼ)は、7月初頃から川べりなどで見られるようになり、今もよく見かける。この蜻蛉は、翅が真っ黒で、それをひらひらと蝶のように動かしながら飛ぶ。

それが何となく不気味な感じがし、子供の頃は幽霊蜻蛉(ゆうれいとんぼ)あるいは極楽蜻蛉(ごくらくとんぼ)などと呼んでいたと思うが、あまりはっきりとは覚えていない。

本日の掲句では、他の蜻蛉とは違い、ゆっくりと動く様子を「スローライフ」と表現して詠んだ。「川蜻蛉(かわとんぼ)」は夏の季語。但し、「蜻蛉」「赤蜻蛉」などは秋の季語。
 
 
 

因みに、過去には、「川蜻蛉」でなく「羽黒蜻蛉」で以下の句を詠んている。

  【関連句】
   ① 風死してゆらゆら羽黒蜻蛉かな
   ② 盂蘭盆会羽黒蜻蛉がはたはたはた
 
 
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①で使った「風死す」とは、「夏の盛り、風がぴたりと止んで耐え難い暑さが襲いかかって来ることを擬人法で表現したもの。」で夏の季語。「風が死に、黒い喪服をまとったような羽黒蜻蛉(はぐろとんぼ)が出てきて、ゆらゆら飛んでいる」というのが句意。
②は、「盂蘭盆会(うらぼんえ)」の墓参りに重ねて詠んだ句。盂蘭盆会は秋の季語。
 
 
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川蜻蛉は、その名の通り川に生息する蜻蛉で、カワトンボ科の蜻蛉の総称。比較的、きれいな川でその姿を見ることができる。全身、金属光沢に覆われている種が多く、翅の色も多種多様である。

川蜻蛉の一種である羽黒蜻蛉は、、東アジア、北米に分布する。翅が黒く胴体が細いのが特徴で、他のトンボのように素早く飛翔したり、ホバリングしたりせず、チョウのようにひらひらと羽ばたいて飛ぶ。

名前の由来は、翅が黒いからと思われがちだが、実のところ、江戸時代、女性が既婚の証として歯を黒く染めた「お歯黒」に翅の色が似ているので、「(オ)ハグロトンボ」と呼ぼれるようになったとのこと。
 
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「羽黒蜻蛉」の種名で詠んだ句はほとんどなく、以下には川蜻蛉で詠んだ句をいくつか掲載した。

     【川蜻蛉の参考句】
      川蜻蛉木深き水のいそぎをり   (能村登四郎)
      川蜻蛉水にうつりて現れし     (深見けん二)
      踏み渡る石がぐらりと川蜻蛉    (山田弘子)
      つと廻り込んで止まれる川蜻蛉  (高澤良一)
      川蜻蛉そろへし翅の羊歯に透く  (八木林之介)
 
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