■ 桜と雨 二句
 
雨だれの重たき枝垂桜かな    
( あまだれの おもたき しだれ ざくらかな )
異国より来て恨めしき花の雨   
( いこくより きてうらめしき はなのあめ )
 
先の日曜日は、朝から雨が降っていたが、桜が満開だというので久しぶりに平安神宮に行ってきた。ここは枝垂桜が有名で、神苑(庭園)の入口に入ると、幾本ものl枝垂桜が重なって見えた。
 
雨を含んだ花弁は、ピンクの色を増し妖艶な感じだったが、やはり雨の重みでいつも以上に枝垂れていた。本日の第一句は、そんな様子を読んだ句である。枝垂桜は、いうまでもなく春の季語。
 
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当日は、桜も満開だということで外国から来た観光客も多数見えた。中には小学生らしい子供達が雨合羽を来て、先生に引率され歩いていたのが印象的だった。第二句は、そんな外国からの観光客に少し同情して詠んだ句である。

別に、自分が雨を降らせた訳ではないのだが、せっかく遠くから来てくれたのに何だか申し訳けなく思ってしまう。本句では「花の雨」が季語。
 
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ところで、春の雨で季語になっているものを、本ブログでも掲載したことがあるが、参考まで再掲すると以下のようになる。

【春雨(はるさめ)、春の雨(はるのあめ)】
 春季に降るしっとりとした雨。
【春霖(しゅんりん)、春霖雨(しゅんりんう)】
 仲春から晩春にかけて降る長雨のこと。
【菜種梅雨(なたねつゆ)】 
 3月中旬から4月の菜の花が咲く頃に降る長雨。
【花の雨(はなのあめ)、桜雨(さくらあめ)】 
 桜の花に降りそそぐ雨。 また、桜の咲くころの雨。
【春驟雨(はるしゅうう)】 
 晩春の頃の烈しく降るにわか雨。

この分類でいくと、今の雨は「菜種梅雨」のようだが、丁度桜の咲いている時期なので暫くは「花の雨」もしくは「桜雨」と呼びたい。また、上記していないが、桜を散らしてしまうので「桜流し(さくらながし)」という呼び方もあるそうだ。但し季語にしてないところもある。
 

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因みに、これまで桜を詠んだ句は30句ほどあるが、雨との関連で詠んだ句は意外になく、以下の句ぐらいである。

雨あとの道は桜に染まりけり

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参考句の方は、特に「花の雨」で詠んだ句を選んで掲載した。

【花の雨の参考句】
団子屋に逢着したり花の雨 (寺田寅彦)
*逢着(ほうちゃく):出くわすこと。
人来ねば鼓打ちけり花の雨 (松本たかし)
花の雨やがて音たてそめにけり(成瀬桜桃子)
鎌倉の夜に入りても花の雨 (星野高士)
花の雨少しまぶしき空のあり (仙田洋子)
 
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