白蝶草群れ咲く丘に夏の蝶
( はくちょうそう むれさくおかに なつのちょう )
 
先日植物園に行ったとき、小高く盛り土した所に、白蝶草(はくちょうそう)が群生しているのを見た。この花は、その名の通り、白い蝶のような形をしていて、時折吹く風に大きく揺れていた。
 
そんな花の様子を暫く見ていると、どこからか紋白蝶(もんしろちょう)が二~三匹飛んできて、あちらこちらで吸蜜を始めた。白蝶草に白い蝶という思いがけない取り合わせに出会い、持っていたカメラで何枚かの写真を撮った。*蝶などの昆虫は、学術的には一頭、二頭と数える。ただ、一般的には匹ということが多い。
 
下の写真は、紋白蝶を中心にトリミングしたものだが、下の写真2枚は全体の様子を写したもの。この中に紋白蝶が一匹紛れ込んでいる。さて、どこにいるか分かるだろうか。拡大もできるので捜してみて欲しい(答は、明日のブログの最後尾に掲載予定。)
 
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前書きが長くなったが、本日の掲句は、そんな光景を見て詠んだ句である。白蝶草は、春から秋にかけて絶え間なく咲くせいか季語になっていない。そこで、下五に夏の季語「夏の蝶」をおいた。紋白蝶のイメージとは多少違うがやむを得ないだろう。
 
因みに白蝶草は、昨年も同じ場所で見ているのだが、季節は秋。その時には以下の句を詠んだ。
 
秋風の吹くに任せて白蝶草
 
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白蝶草はアカバナ科ガウラ(ヤマモモソウ)属の多年草。北アメリカ原産。日本へは明治時代の中期に渡来したそうだ。花期は5月~10月と長い。細長い茎の先端に2~3cm程の白い4弁の花を咲かせる。園芸品種には、花色がピンクや赤のものもある。別名に、「山桃草(やまももそう)」、「ガウラ」がある。
 
尚、「白蝶草」を詠んだ句はあまりないので、代わりに「夏の蝶」「夏蝶」を詠んだ参考句を以下に掲載する。
 
【夏の蝶、夏蝶の参考句】
夏の蝶眼鋭く駆けり来し (高浜虚子)
まことちさき花の草にも夏の蝶 (原石鼎)
夏蝶の出入自在や仁王門 (阿波野青畝) 
見失う時なお高みなる夏の蝶 (瀧美千江)
荊棘線のあなたへ消ゆる夏の蝶 (林千鶴子) 
荊棘線(ばらせん):有刺鉄線の俗称。
 
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