輝きに心縛らる金鎖
( かがやきに こころしばらる きんぐさり )
 
藤の花は、もうすっかり散ってしまったが、今年は残念ながら、新しい句は全く詠めなかった。こういう名の知れた花は意外と詠みにくく、どう詠んでも陳腐に見えてくる。藤に関しては、また来年にでも詠もう。そんなことも考えていたおり、植物園で藤のように花房を垂れて咲いている黄色い花を見た。
 
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名札を見ると、「キングサリ」と大きく書いてあり、その下に(キバナフジ)と書いてあった。外見からして、藤の仲間のようだが、それにしても派手で華やかな感じがする花である。

気になったので、家に帰ってから、ネットで改めてその植物の特徴などを調べてみた。その概要は後述するが、関心を引いたのは、「キングサリ」は漢字で「金鎖」と書くということ。英名の「golden chain」の和訳で、文字通り黄金の花が鎖のように垂れ下がることから、その名がついたそうだ。

本日の掲句は、そのことを知って詠んだ句である。中七で使った「縛らる」は、下五の「金鎖」の鎖に絡めて使った。この句は、「金鎖」という言葉と花のイメージからの連想句だが、読みようによっては、特定の人を比喩したものともとれる。尚、「金鎖」は季語でないが、夏の季語に準じて使用した。

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キングサリ(金鎖)は、マメ科キングサリ属の落葉低木。原産地はヨーロッパ中南部。明治時代初期に日本に渡来。花期は5~6月。 花は鮮黄色の蝶形花(ちょうけいか)で、房状に咲き、その長さは20cm~30cmくらいになる。全体に有毒のアルカロイドが含まれており、有毒植物とされている。

別名にキバナフジ(黄花藤)があるが、藤のように蔓性でなく別属。どちらかというとエニシダ(金雀枝)に近い。
 
尚、金鎖に関する句は、ほとんど詠まれていないようなので、参考句は割愛する。
 
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