■ あまた莟したがえ咲くや紫露草
          (  あまたつぼみ したがえさくや むらさきつゆくさ )

 

今日取り上げる「紫露草(むらさきつゆくさ)」は、身近な道端や川辺などに自生し、5月初め頃から花を咲かせている。特に珍しくもない草花だが、何回も見ていると、これまであまり気にしてなかった部分が見えてくる。

 

 

今回は、茎の先端につける莟の多さに驚いた。紫露草の花は、朝咲いて午後には凋む一日花だが、大量の莟の中から数個だけ花を咲かせ、ずっと継続的に咲いているように見せている。

 

 

本日の掲句は、そんな花の様子を見て詠んだ句である。尚、「紫露草」はよく知られている花だが季語になっていない。

 

ミッキーマウスの顔のような花をつける「露草」が秋の季語で、それとの混同を避けるためだと思われるが、本草花は、もっぱら夏季に咲くので、掲句では夏の季語に準ずるものとして詠んだ。

 


因みに、「紫露草」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。


   【関連句】
    ① ピンしゃんと葉先のばして紫露草
    ② 川風を粋にいなして紫露草
    ③ 梅雨晴れの光たたえる紫露草

 


 

①は、葉先をぴんと伸ばしている姿をそのまま詠んだもの。この句は何度も改作している。
②は、川辺にしっかりとした花をつけている姿を「粋」と表現して詠んだもの。
③は、梅雨時で一時的に晴れた日に、朝日に照らされた花を見て詠んだ句。

 


 

紫露草は、ツユクサ科ムラサキツユクサ属の多年草。北アメリカ原産で明治の初期に鑑賞用として渡来した。


花期は5月初頃~7月中頃。1本の茎をまっすぐ伸ばし、その先端近くに2~3の小柄な花を咲かせる。

 


 

花には、青紫の他、赤紫(ピンク)、白などがある。白花のものは、特に「白花紫露草」ともいう。

 

   白色の紫露草面白き

 

*白花紫露草

 

通常のものは、高さ50cmほどまで伸びるが、1mぐらいまで伸びる「大紫露草」という品種もある。また、似ている草花に全身紫の「紫御殿(むらさきごてん)」がある。


*紫御殿 (紫露草と同科同属)


季語になっていないせいか、紫露草を詠んだ句は殆どないので、参考句は割愛する。