私は来月で67歳になります。すでに世間一般では高齢者扱いとなり。いつ死んでもそれほどおかしくない歳です。二人の娘達もすでに独立し、夜ポツンと独りでいると、自分はこれまで何のために生きてきたのかな、などと思えてきます。ブログを書くことも虚しくなってきて、過去記事も大量に整理しました。もう完全に辞めようかとも思ったけど、どうせなら綺麗事ではなく、これまであまり触れなかった自分の本音を率直に書いてみようと思いました。

 

今から7年ほど前に、乳がん手術を終えたばかりのある女性が、私のブログによく来てくれました。そのころ彼女はまだ40代前半だったと思います。術後の経過はとても順調で、定期検査も毎回クリアして職場にも復帰し、私も安堵したものです。ところが手術から2年程過ぎた頃、彼女は風邪をひき、かなりこじらせてしまったのです。真面目な方だったので仕事も休まず無理したのでしょう。その風邪は一か月も長引き、さらに悪いことに続いてインフルエンザにも罹り、計2か月間も炎症状態が続いてしまったのです。するとそれまで順調だったはずのがんが肝臓や肺で突然再発し、すごい勢いで暴れ出し、最後は悲しい結果になってしまいました。せっかくあの時まで順調だったのに、なぜ急にあんなことになってしまったのか・・・私は長引いた風邪やインフルエンザか彼女の免疫状態を弱め、それまで抑えて込めていたがんが、いっきに噴き出してきたように思えてなりませんでした。もし、風邪のひき始めに大事を取って仕事を休んでいれば、あの時の再発はなかったのかもしれないのに・・と思うとすごく残念だったです。私が慢性炎症をできるだけ避けるように考えるようになったのはその頃からです。

 

私の職場には血液のがんで経過観察中の男性がいて、少し前に半年ごとの定期検査があったのです。ただタイミングが悪いことに、検査の数週間前に彼は風邪かコロナかわからない感染症で2週間ほど高熱が続き、仕事も休んだのです。彼は過去にきつい放射線治療も受けているので、感染症からの回復にも時間がかかるようです。ちょうどその頃、コロナに罹るとがんが再発しやすい、というニュースも流れたので、かなり気にしていたようです。でも私は彼に「2週間で治ったのならコロナだったとしても大丈夫だよ、一か月以上も長引いた場合がよくないんだよ」と言いました。そして検査の結果は予想通り全く問題なくクリアでした。私は彼に「言った通りだっただろう」というと彼は「そうですね」と答えました。彼は普段からとても御身大切にしていて、風邪などでもすぐに仕事を休むので、同僚からも評判が悪いようです。でもがん患者の場合は、そのくらい自分ファーストで良いのでしょう。

 

風邪やコロナを完全に防ぐことは無理です。でももし罹ってしまっても、早めに治せば免疫の疲弊(T細胞の機能低下)も起きないと思います。最近も次女の婿が職場でコロナを移され、次女の家族全員がコロナになったけど、一週間ほど職場を休んだら皆回復しました。味覚障害や嗅覚障害などの後遺症もないみたいです。喉の激しい痛みと回復には風邪より少し時間はかかるようですけど、後遺症の確率はかなり減ったようです。やはり慢性的な炎症を避けることがすごく重要と思います。

私の職場のホジキンリンパ腫で経過観察中の男性が、本日無事に3年目の検査をクリアできました。ゴールまであと2年ですが多分もう大丈夫でしょう。血液のがんは散りやすいので、出るならもう出てると思うからです。血液のがんは抗がん剤で治ることがあると聞いていたので、私は彼にケトンのことはこれまであまり話しませんでした。でもやはり補助になる可能性はあるようです。

2022年4月公開

一部抜粋:本研究の結果から、未だ決定的な治療法が確立していないATLのような超難治性の血液がんに対して、糖尿病治療薬(SGLT2阻害薬)を巧みに活用して、糖尿病とは直接の関係がないものの、進行の早い悪性細胞の増殖を遅らせるというユニークな治療法の樹立が期待できます~ここまで

 
そしてこちらは今月公開されたばかりの報告です。米国血液学会(世界最大級)での報告なので、いかがわしい情報ではないと思います。ようするにケトン体にはがん細胞を攻撃するCAR-T細胞の能力を強化する可能性があるということです。

一部要旨(略語化あり):高脂質低糖質からなるケトン食は、キメラ抗原受容体CAR-T細胞療法の抗腫瘍効果を増強できる可能性が明らかとなった。本研究では、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(非ホジキンリンパ腫の一種)を移植したマウスを用いて、食生活がCAR-T細胞療法にもたらす影響を調査した。ケトン食を与えたマウスでは、他のスクリーニング食と比較して、CAR-T細胞の投与から15日目における腫瘍量が減少していた。ケトン食を摂取させたマウスではCAR-T細胞の増殖が多く、ケトン体の一種であるβ-ヒドロキシ酪酸(BHB)の発現レベルの上昇が、CAR-T細胞の増殖に関与する可能性が示された。ケトン食またはBHB(ケトンサプリ)を与えたマウスでは同程度の抗腫瘍効果が見られ、IFN-γ(抗腫瘍)やIL-2(抗腫瘍)の発現レベルも同程度に上昇していた。一方、CAR-T細胞を投与したマウスのうち、プラセボを摂取したマウスでは7例中1例のみに完全奏効が見られたのに対し、ケトンサプリを摂取したマウスでは7例中6例に完全奏効を認めた。また、ケトンサプリとCAR-T細胞が投与されたマウスの血液を調べると、CD3陽性T細胞(抗腫瘍)とインターフェロンγ(抗腫瘍)の発現レベルが上昇していることが分かった。CAR-T細胞ではクエン酸回路において、グルコース(ブドウ糖)よりもケトン体を優先的にエネルギー源として利用しており、ケトン体はCAR-T細胞の酸化的リン酸化(エネルギー産生能)を促進し、酸素消費量(ミトコンドリア活性)を増加させることが示された。CAR-T細胞療法を行った再発・難治性(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)患者17人から採取した血液を解析したところ、CAR-T細胞の増殖とケトン体の発現レベルは正の相関を示すことが明らかとなった。CAR-T細胞療法を行う再発・難治性の非ホジキンリンパ腫患者を対象にケトンサプリを投与する臨床試験が進行中である~ここまで

 

私は以前「免疫細胞はブドウ糖しかエネルギーに使えないから、糖質制限は免疫力を弱める」という、ある記述を読んだことがあります。しかしCAR-T細胞は免疫細胞の一種です。しかもがんを攻撃します。ヒトでもケトン体が増えるとCAR-T細胞も増えたのだから、この免疫細胞はケトン体をメインエネルギーにしていることになり、私が以前読んだあの記述は科学的に間違っていたことになります。

 

おーちゃん、ケトンは乳がんにもきっと効いてるんだよ・・再発して8年も頑張れてるんだから、やはりがんはケトンを嫌うんだよ。ケトンサプリもかなり現実化されてきてます。頑張ろうね!

 

 

ナッツさんへ ナッツさんが心配していた高ケトン値の不安というのはもしかしてこれのことでしょうか。https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3047616/(ケトンと乳酸塩は腫瘍の成長と転移の燃料) これは2010年の9月頃に発表され反ワールブルグ効果として一時期話題になりました。しかし現在はまったくしぼんでしまってほとんど誰からも見向きもされていません。もしもこの内容が真実だったら、今頃全世界中に広まり新しい大発見としてすでに定説になっているでしょう。それこそノーベル賞級です。

 

しかしこの論文が話題になったころはLCHF界にも不安を与え、大御所であるジミームーア氏のところにも問い合わせが多かったそうです。http://livinlavidalowcarb.com/blog/do-ketones-fuel-cancer-the-low-carb-experts-respond/10124 何人かのケトン食のエキスパートがこの質問に答えています。概ね否定的な回答が多かったです。しかし回答者は皆学者なので、論文内容だけを真剣にとらえています。私には学者ではないElaine Cantin女史の解釈が一番あっていると思われました。彼女の調査では、当該の論文の主著者である人物は、過去に非常にいかがわしい経歴があるというのです。http://ameblo.jp/yujikiyokotaro003/entry-12220363792.html 彼女はこのMichael P.LisantiについてBAD SCIENCEと呼んでいます。しかも私が信頼するDr.Colm Champはこれ以前にMichael P.Lisantiと(別論文で)共同執筆したことがあるのです。どちらも乳癌専門の学者です。Dr.Colm ChampはMichael P.Lisantiの裏事情も良く知っていると思われます。それに先日も書きましたけれども、癲癇患者におけるケトン食セラピーで癌リスクが高まるというデータは聞いたことがないし、解説書にも載っていません。この場合での癲癇患者のケトン値は3.0を越えていて、かなりの高ケトン値状態が長期間継続しているはずです。しかし発がん率が高まるとか、癌の成長を助けるなどという記載は解説書には一切ないはずです。もしも少しでも癌リスクの可能性があったとしたら、もうとっくにケトン食は癲癇セラピーから外されているでしょう。

 

ただこの論文とは別に、アンドリュー青年が万が一の場合に備えてDHAを摂取するのだと発言したことがあります。癌細胞といえども元は正常細胞だったのだから、その頃の性質が少しは残っているかもしれません。でももしもケトンをエネルギーにするようになったら、それはもはや癌細胞ではなく正常細胞に近づいてきていて、癌が治るサインなのではないでしょうか。

 私が先に行って様子を見るから、ナッツさんは自分でも安全を確かめながら慎重についてくればよいと思います。でもケトン値が高すぎるのでクエン酸ソーダやマグネシウム補給は必要です。

 牛骨から採れたコラーゲン(左)と牛脂です。お茶を濾す紙に液体の部分を通すとこのように出来上がります。

 

一週間ほど前に紹介した”ケトンは腫瘍の成長と転移のエネルギーになる”という詐欺的論文にまた騙されそうになった人がいたようです。

https://www.facebook.com/beau.wetini/posts/10154359444246284?pnref=story

オーストラリアに住む男性が、最初この論文の内容をそのまま信じて自分の投稿にアップしたようです。しかしそれについてElaine Cantin女史が即座に助言しました。”あれは疑似科学です。それらの腫瘍細胞は、食事からのケトンを必要と(誘発)しない。その現象は、1型糖尿病が治療されていない状態の高血糖、ケトアシドースの場合にだけ起こり得る。そしてこの論文に対しては、幾人もの科学者が内容についての欠陥を指摘しています” 

 

先日のDr.Colim Champの指摘と合わせてみても、この論文はほぼ間違いなく詐欺的論文でしょう。英語圏の人でも引っ掛かってしまうのだから、よほど巧妙に作られているのだと思います。論文を主導したLisantiという人は、リバースワールブルグ効果(ワールブルグ効果を否定する)を発見した立役者として、一時期かなりもてはやされました。そして経過観察中の私の(以前の)ブログにまで、この論文をネタに嫌がらせが来たのです。しかし、私はすでにカラクリを知っていたので平気でした。でももしも予備知識がなかったら、引っ掛かっていたかもしれません。そういう意味で、情報の識別眼はとても大切に思います。

http://link.springer.com/article/10.1007/s00066-014-0788-9/fulltext.html これは私が信頼する放射線腫瘍医(乳癌専門)であるDr.Colm Champが書いた論文です。真ん中やや下のあたりから、とても重要なことが書いてあります。"ケトン体が脳腫瘍の燃料になる可能性は、いかなるデータからも確認されていない。ただし数年前にMichael P.Lisantiが主導したケトンと乳酸塩は腫瘍の成長と転移の燃料になるという論文はある。しかしこの実験は(試験管内で)乳癌細胞がケトン体を利用できるようにするために、律速酵素を過剰発現するように遺伝子改変されて実施されている(人工的にケトンを燃料にするように改造されている) 通常の腫瘍細胞とは似ても似つかない。ましてや脳腫瘍は、酸化的リン酸化の機能不全の傾向が強いので、ケトン体を効率よく利用できないだろう。さらにいうと低酸素腫瘍領域でのケトン体の利用はできないであろう。 

 

ところでこのMichael P.Lisantiという人物は、その後、所属していた大学から知的財産を盗んだとして、夫婦共々訴えられています(配偶者も論文の共同著者) 別の大学に移動して、自分たちの名前で特許出願をしようとしたようです。http://www.law360.com/ip/articles/366951 さらにその後http://hellogiggles.com/cancer-cure/ 8歳の少女が癌の治療法を発見したかもしれない、という記事がでました。彼女の名前はCamilla Lisantiといい、父親はあのMichael P.Lisantiです。結局その後、この話題はまったく盛り上がりませんでした。でも子供に罪はないでしょう。私が子供の頃の少年マガジンにも、韓国の天才坊やのキムウンヨン少年の特集がよく載っていました。まだ小学生なのに、大学生並みの知能があり、生まれた時は毛むくじゃらの状態で出生してきたと記憶しています。しかし現在は凡人になっているそうです。

 

論文の真贋を見抜くのには、書いた人の人間性も考慮に入れたほうがよさそうです。それには普段の行動をよく見ることがキーポイントになりそうです。やはり誠実な人は嘘を書かないと私は思っています。

 

 

 今日は滋賀県の安土城跡まで行ってきました。戦国武将の居城だった処なので、かなり険しかったです。杖を使用している人が多かったですが、私は全く平気で登れました。勢いがあり過ぎて転んでしまったくらいです。下の写真は頂上で、遠くに琵琶湖が見えます。

 

https://www.facebook.com/damian.porter.71/posts/862265513908692?pnref=story

この投稿は、下部に紹介されている論文のカラクリを暴いています。この論文の内容は、2匹の脳腫瘍のネズミにケトン食を与え続けたら腫瘍が増大し、その仕組みを解明したというのです。

 

これに対してDr.Dominic D'Agostinoは、この実験に使用された餌に問題があると指摘しています。この餌の脂質は、100%(水素添加された)植物性ショートニングなのだそうです。このケトン食の構成では、無駄で効果がないばかりか、人間や動物にとって非常に危険であるそうです。だからこの実験では、(当然)このような結果になったのだろうと説明しています。

 

要するにこの論文には欠陥があるということです。でも普通の人がこの論文をみたら、ケトン食に対して不安を持ってしまうでしょう。海外の論文には時折、こういった引っ掛けのようなものがあります。私は真贋を見分ける場合に、単純ですけどその人の普段の行動を見ることにしています。でも意外とこれが当たっている場合が多いのです。やはり誠実な人の主張は信頼できるように思います。

 

今日は疲れているので、端折って書いちゃって申し訳ありません。ミスがあったらゴメンナサイ。でも大意では合っていると思います。