『お父さん、僕もあれ(始球式)やってみたい』。 

 昨年2023年の夏に、東京ドームに阪神タイガース対読売ジャイアンツの、試合を見に行った時の、息子くんのこの一言からこの物語は始まりました。

 その日東京ドームで始球式を務めていたのは、抽選で選ばれた少年野球のチームの男の子。

 それを見て、僕の息子くんも始球式をやりたくなったようです。 

 しかし、しかし、しかし、である。 

 『やりたい』と言ったからといって、何でも出来るなら、世の中苦労はしない。(何てことを言うんや、こいつは…)と思ったのが、正直なところ。

 しかし、これもまた、しかし、しかし、である。

 このままこの言葉を聞き流してもいいのだけれど、

 それで果たして将来、 
『あの時やってあげればよかったな』と、
 後悔はしないだろうか? 

 色んな疑問が頭を駆け巡った。 

 (よし、とりあえず調べてみよう…) 

 夢を叶えるための方法は、まずはその夢に向かうための情報収集を、することである。 

 地図も何もなく、ハワイに行けと言われても無理だけど、行き方やそのために何が必要かがわかれば、『行けるかどうか』の判断は出来るかもしれない。

 そこからどうしたら、始球式が出来るのかを調べてみたところ、大きく方法が3つあることがわかった。

1.ファンクラブに入って何千倍の確率の抽選を申し込む 
2.有名人になってセレモニーとして呼ばれる 
3.球団のスポンサーになるこの3つである。

 ※※※※※ 
1は、まぁやるとしても当たる確率は低い。
2は、出来たとしてと何年後になるのかという話。

 やるとしたら、『3』である。
 ※※※※※ 

 そこでまた色々調べてみた所、
 球団のスポンサーといっても様々あり、
 年間のスポンサーもあれば、中には1日のゲームをスポンサードする、『冠スポンサー』というものがあるらしい、という情報を見つけた。

 そしてそこにはなんとその日のゲームで、球場内外で会社の広告を打つことに加えて、始球式の権利が付いてくるという!! 

 (これか…これを狙うか…)。 

 折しも季節は12月。 

 その時に募集をしていた、オリックスバファローズを始め、数球団に電話で問い合わせてみたら、ちょうどこの時期から、来シーズンのスポンサーを募集開始する時期だという。 

 しかし、1日のスポンサーといっても、その料金は決して安いものではない。

 それに加えて、果たして自分の子どもの希望を叶えるためだけに、そこまでやることが正しいことなのだろうか、と。 

 また様々な疑問が頭を駆け巡った。 

 …しかし…。

 結局やるかやらないかを迷った時は、やる理由(メリット)と、『めんどくさい』を除く、自分自身のやらない理由(デメリット)を、一通り並べてみて、やる理由が勝った場合は、腹を括ってやる。

 今回まずやらない理由として挙げられるのが、

 ※※※※※ 
・費用の問題→会社のお金を使うことが正しいのかどうか 
・ここまでやることが、そもそも子どもにとって良いことなのだろうか→甘やかしではないだろうか 

 大きくはこの2つ。
 ※※※※※ 

 まず費用の面に関しては、僕自身はラーメン屋と作家の2つの側面として、会社を経営していることもあり、ラーメン屋の方のお金には手を付けない、ということで、自分自身に納得が出来る。 

 甘やかしではないかということに関しては、こればかりは答えはわからない。

 しかしこれは子どもどうこうというよりも、自分の問題、先に書いた通り、自分が将来後悔するかしないかということである。

 いつか大きくなった時に、『あの時やってあげればよかったな』と、思うぐらいなら…。

 そう考えたなら、やらない理由2つに関しては問題はない。 

 後はやる理由に関して。始球式はもちろんのこと、 

 ※※※※※ 
・会社としてのスポンサーなら会社の宣伝広告、プロモーションになる→もし兄の会社と合同で出来るなら、僕自身も大阪府下を中心にラーメンチェーンをやっている以上、大阪を傘下とする球団のオリックスは、広告効果としても尚のこと良い。

 ・始球式だけでなく、スタメンキッズといって9人の子どもたちが試合前に9人ポジションについて選手を出迎えて、そこでサインボールがもらえるイベントもあるという→これならスタッフのお子さんたちにも、同じように一生の思い出を作ってあげられる。

 ・こんな機会は一生に何度もあるものではない。※※※※※ 

 こうして総合的に考えたなら、自分だけでなく、みんながハッピーになれる可能性がある。

 答えは、『やる』。

 このような経緯から、今回4/12の京セラドームでの、オリックス対日ハム戦で、『豚吉ラーメンDAY』という、冠スポンサーゲームを開催させて、頂くこととなりました。 

 結果、本当にやって良かったです。 

 画像にある通り、球場内外に設置してくださった、のぼりや看板に感動したことはもちろんのこと、





 オリックスのスタッフの皆さんが、本当に優しく手厚くしてくださって、始球式の前には、息子くんと選手がキャッチボールで、練習をさせてくれたり、



 スタメンキッズでも、選手が子どもたちの頭をなでたり、話しかけてくれて、ハイタッチもしてくれて。会社のスタッフの皆さんやうちの両親、家族、みんなが喜んでくれている姿が、本当に幸せでした。







そして、始球式。




テレビ放映も付く中、我が子ながら立派に務めあげて、大きな歓声を球場中からもらっていました。

きっとこの経験は、彼にとって、将来の大きな自信になってくれることと思います。

夢のような時間、夢のような1日で、本当に幸せな1日でした。

『人生が終わる時に後悔したくない』。

そのことを最近よく考えるのです。

やれることをやれるうちに、たくさん楽しいことをして、思い出をいっぱい作っていく。

そこに家族やスタッフ、関わる人みんなの笑顔があるのなら、もっと良い。

4/12を終えて、じんわりと喜びと幸せが、心に湧いてきています。

京セラドームのグラウンドから見た光景と、始球式の時の拍手は、一生忘れません。

快く応援してくれた兄に、会社の皆さんに、うちのスタッフの子たちに、その子どもたちに、家族に、本当に感謝します。

何のために会社をするのか。何のために生きるのか。

きっとこんな一生の思い出を、自分も自分の周りも含めて、たくさん作っていくためにある。

2024年4月12日。

また1つ、人生に幸せな1ページが増えました。