今日のお話は、
僕を含め、
子を持つ親の世代に、
そして何より、
一人でも多くの子どもたちに、
届けたいお話です。
ある日父は、
テレビから流れる、
引きこもりやニートが増加しているという、
ニュースを眺めながら、
僕に言いました。
父「祐二な、
何で今の時代、
こんなに引きこもりやニートになる子が、
増えてると思う?」
あ「う~ん…。
何ででしょう…?
やっぱり社会情勢が不安だから?」
父「違うねん。
引きこもりやニートになってしまう子には、
総じて同じ理由があるねん。
それはな…」
あ「…?」
父「子どもの頃に、
『何かをやって出来た』という、
経験がない子がほとんどやねん」
あ「何かをやって出来た、
という経験がない…」
父「そう。
これは誰かを貶める言葉でも、
何でもないで。
結局な、
お前もそうやけど、
誰もが子どもの頃にみんな、
学校行事や習い事、
部活や大会でな、
練習して上手くいかんくて、
勉強しても思った通りにいかんくて。
でも、
そんな経験を重ねながら、
それでも前に進んで、
思っていた結果や、
思っていた以上の結果を、
手にすることが出来た時、
その心には、
『俺(私)って、出来るんだ』って思い、
所謂、自己肯定感ってやつが、
心に芽生える」
あ「自己肯定感…ですか…」
父「その、
『自分は出来るんだ』という、
自己肯定感や、
自信というものがあることによって、
次の未来で何かに挑戦する時に、
無意識の内に、
『次も出来るかもしれない』と思えるから、
歩みを前へと進めることが出来る。
その逆に、
その気持ちが無いとしたら、
どうなると思う?
何かをする時や、
壁にぶつかった時に、
『俺なんてどうせ…』、
『出来るわけない…』と、
思ってしまっていたとしたら…」
あ「自分に当てはめたとしたら、
前に進む勇気が出てくるとは、
思えません…」
父「そう。
結局人は小さい頃に、
何度も転んで、
立ち上がって、
成長して…という過程を、
繰り返すことで、
20代以降の人生に於いても、
一つのミスにへこたれず、
何度も立ち上がり、
挑戦する心を養うことが出来るねん。
ただ今の子はその、
挑戦して失敗して、
それでも立ち上がって、
という過程が、
余りにも少なすぎる。
それだから故に、
学校についていけなくなった、
仕事をやめてしまった、
そういった一つのミスで、
社会や世間からの疎外感を、
味わってしまい、
『俺はダメなんや…』という、
思いと共に、
立ち上がれなくなって、
社会との関わりを断絶してしまう…」
あ「はい…」
父「だから大切なことはな、
自分の子どもに限らず、
会社で言うなら、
従業員もそう、
部下もそう。
学校の先生なら、
受け持つ生徒さんもそう。
『やって出来た』という経験を、
どれだけ積み重ねさせることが出来るか。
でもそれはな、
大きいことをやらんでもええんやで。
『昨日出来なかったことを、
今日はやれた』。
『昨日サボった宿題を、
今日はやった』。
『今日は遅刻せずに来た』。
『忘れ物をしなかった』、
といった、
そんな小さなことから、
周りの親や先生、
大人が誉めて愛して、
認めてあげるんや。
それをしてくれたなら、
子どもは嬉しくて、嬉しくて、
少しずつ自信の芽を養い、
自ずと自分から、
前へと歩む時がやってくるから」