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※昨日より続く。下田の企みにより、まさかのトラウマの東南アジアに連れていかれることになった荒川祐二。

オカマに追いかけられたり、殺虫剤をぶっかけられたり、豚に突進されたり、とんでもない目に遭う東南アジア!

さて、今回はどうなる!?どうなる俺!?!?
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ベトナム ハノイに向けて、前日にスーツケースに荷物を詰めていた僕。

そこで気付いた…。

『パスポートが…ない…』

なぜ!?
なぜ!?!?
なぜ!?!?!?

その時頭に思い浮かぶのは、先月家族旅行に行くためにパスポートを大阪の実家に持っていった、無駄に確かな記憶…。

僕「オー…マイガ…」

急いで実家の母に電話した。

僕「パスポート!パスポート!そっちにない!?」

母「あるけど」

僕「(冷静やな!)そ、それ、それ!ど、どうしたらい、いい!」

母「どうしたらいいって?」

僕「明日からベトナム行くねん!!」

母「妖怪人間?」

僕「それはベム!!ベ、ト、ナ、ム!!」

母「ベトナムね。なんとかしよか」

僕「出来るの!?」

母「うん」

10分後…。

母「何とかしといたよ」

僕「マジ!?」

母「マジ」

聞けば最近の宅急便は大阪~東京間なら前日の18時までに持ち込めば、翌日の午前中には東京に着くのだという。

素晴らしい!
素晴らしい日本の宅急便システム!!
素晴らしいうちの母!!!!すえ子なのに末っ子じゃないうちの母!!!!

ビバ!!!!すべてにビバ!!!!

僕「はぁ…」
僕「はぁ…」
僕「はぁ…」

しかし一瞬上がったテンションも翌日には、「これはこの旅のトラブルの序章ではないのだろうか…」と思えば思うほど変に精神力を使いきり、僕は重い足取りで羽田空港へと向かっていた。

こうなっては結局パスポートが見つかったのが、よかったのか悪かったのかよく分からないものである。

そして到着した空港では、下田さんがこれ以上ないほどのさわやかな笑顔で待っていた。

下田さん「おはよう!どうしたの!元気ないじゃん!!」

僕「……」

あるわけねぇだろ!!この野郎!!お前のせいだ!!バカ野郎…と言えるわけもなく、僕は死にかけの蚊のように弱弱しい相槌を打っていた。

(※誤解のないように重ねて言いますが、東南アジアは素晴らしい所です。ただ、僕はなぜか東南アジアで毎回ひどい目に遭うというだけです)

手続きを終え、飛行機は滑走路を滑るようにベトナム・ハノイの空へ飛び立っていく。




揺れも落ち着き、横に座っている下田さんに聞く。

僕「で、今回ベトナムに何しにいくんすか?」

下田「え?そんなの決まってるわけないじゃん!ノープラン!ノープラン!!」

僕「はっ!?はぁぁぁぁぁぁ!?」

下田「いや!だってこれ旅だよ!旅に目的地なんてあるわけないじゃん!!」

僕「いや!意味わかんないし!!意味わかんないし!!意味わかんないし!!」

下田「うるせぇ!!黙ってパクチーでも食っときゃいいんだよ!!」

僕「はぁぁぁぁぁ!?うるせぇってなんだ!!訴えるぞ、この野郎!!」

下田「訴えれるわけねぇだろ!!もう帰れねぇんだよ!黙って座っとけ!!」

下田とそんなこんなのひと悶着を起こしながら、飛行機は羽田を発ち約5時間のフライトでベトナムはハノイへ到着。

荷物を取り、空港に降り立ったその瞬間…。

僕「暑っ!蒸し暑っ!!」

気温は日本とほぼ同じ。ただ唯一違うのは、ベトナムは蒸し暑い。これ以上ないぐらい蒸し暑い。

そして早速ポタポタ汗を滴らせる、そんな僕たちをタラップで待っていたのは…。

?「荒川さん、下田さん。初めまして、アンと申します」

あら、イケメン君。

下田さんが手配をして通訳として用意してくれたのは、29歳の男なのに可愛い名前のアンちゃん。



何と彼は日本滞在経験が10年以上あり、しかも防衛大卒という超エリート!!

僕「えー!凄いじゃん!!」

アン「いえいえ、全然っす。要領良いだけっす」

…。
……。
………。
…………。

日本語うまいな!おい!!

なんだ、「っす」って!!「っす」って!!

…まぁ少し興奮してしまいましたが、日本人以上に日本語の堪能なイケメンベトナムボーイのアンちゃんを加えて、僕らの旅は始まるのだった。

まぁ初日、早速泊まったホテルで巨大な虫に噛まれて、すげえ腫れたなんて序の口、序の口。



これから始まるとんでもない旅の序章でしかなかったのだからね!!

【明日へ続く】

荒川祐二

・『天空の村の古代少数民族が作る奇跡のしずく <シャンティ>を知って欲しい!』
https://www.makuake.com/project/arakawayuji/