□■□■□■
6年前の秋田県のある日は記録的な大雪でした。

その日の夜から降り始めた雪は翌日の夕方まで国道の車たちを動けなくさせました。

そんな中、国道近くに住む主婦の方たちが停車中のドライバーたちにおにぎりを配ったのは翌日の午前9時頃でした。

朝から国道の車がずっと動いてない事に気付いた主婦の一人が

『お腹の足しになれば』

とおにぎりを握りだすと横で見ていた旦那さんに

『それじゃあ足りない』

と言われました。
外に出ると長い長い車の行列。

お向かいさんにも声を掛けて米を炊き旦那さんらとおにぎりを配りました。

車内の女性や子供には家のトイレを使って下さい、と伝えました。

電車の乗客を代行輸送中の大型バスの手前でおにぎりが全て無くなると自宅に戻って更に近所の5軒くらいに声を掛けておにぎり作りを手伝ってもらいました。

車が動き出す夕方まで国道付近の家で20升近くのお米を炊いたそうです。

その1週間後、町役場にお礼の電話がありラジオでも話題にされました。

主婦の方たちは町から

『広報誌に顔写真を載せさせて下さい』

と頼まれましたが断りました。

『自分たちも気持ち良かったんだから。いかつい顔の男性が車から降りて何度も頭を下げてくれたし』

と笑ってかわされた。最初におにぎりを配った主婦の方は

『一緒に炊き出しをしてくれた人が近所にこんなにいたことが嬉しい』

と話しました。

『THE感動する話より』
□■□■□■