平成12年1月27日に運輸政策審議会の18号答申が発表となりました。実は平成11年の9月以降複数の国会議員を通じて、何回も当時運輸省の鉄道課長へ陳情を続けておりましたので川崎市側も要望として形だけは上げていましたが、まさか答申にのってくるとは考えてなかったようでした。

この質問では答申にのった以上はしっかりとした考え方と対応をすべきであるとの立場から建設費の試算や応分割合などを聞いていますが粘りに粘っても頑なにだそうとしませんでしたので、こちらから数字を出すこととなりました。

市長答弁にも水面下で調整をされていた悔しさといいますか川崎縦貫高速鉄道オンリーできているのに邪魔をしてともとれる答え方ですね。

誰一人この問題の推進を実行しない中、ようやく答申に乗せることができたことを本当にうれしく思いましたし、大きな政策の実現というのは時間がかかるし詰め将棋のように緻密さが求められることも改めて感じました。

 

平成12年 予算審査特別委員会-0313

雨笠裕治 委員 それでは,まちづくり局長に横浜市営地下鉄3号線の延伸について,それから建設局に尻手黒川線を含む道路整備について一問一答で質問いたしたいと思います。
 まず,横浜市営地下鉄3号線の延伸についてですが,先日,南武線の踏切信号等のいたずらで,登戸駅から川崎駅まで,私はちょっと意地になって乗っていたんですが,1時間半もかかりまして,本当にそのときに川崎縦貫高速鉄道ができていればどんなによかったかと思いました。それから,すぐ相入れず,先般,日比谷線の事故でお亡くなりになった多くの皆様方がいました。心よりご冥福をお祈り申し上げたいと思いますが,鉄道に関して私なりに考えさせられる1週間を振り返って,地下鉄事業につきましては,一般的に考えられているよりも,開通すると投資的効果が非常に高い割には,財政を極端に圧迫しないということが代表質問等では明らかになったと私は思います。そういう立場から,横浜市営地下鉄3号線の新百合ヶ丘駅までの延伸について伺います。
 先般,1月27日に発表となりました運輸政策審議会の18号答申には,代表質問でも質疑が集中しました。2015年までに開業すべき川崎縦貫高速鉄道と2015年までにすすき野周辺開業プラス新百合ヶ丘駅へ向けての工事着手に入る横浜市営地下鉄3号線の延伸の2つの路線が現段階では,実現の可能な路線決定であると示されたと思います。初めに,地下鉄3号線の川崎市,横浜市それぞれの距離を示していただきたいと思います。
 次に,川崎市,横浜市の市境はあるとしても,開業と着手,なぜこのように差が生じたのか。また,横浜市との協議をいつから始めるのか。さらに,川崎縦貫高速鉄道は,今後,交通局で対応していくことになりますが,鉄道整備室の体制と仕事はどのように変化をし,横浜市営地下鉄3号線延伸はどこが責任を持って進めていくのか,お伺いをいたします。以上です

◎黒岩清忠 まちづくり局長 横浜市営地下鉄3号線の延伸についてのご質問でございますが,まず,川崎市域,横浜市域のそれぞれの距離についてでございますが,本市では具体的なルートの検討はしておりませんが,延伸区間はおおむね7キロメートル弱と思われ,川崎市域はその5割程度と見込んでおります。
 次に,運輸政策審議会の位置づけが横浜市と川崎市で分かれた理由といたしましては,路線が市境をまたぐことから,事業主体のあり方などの調整が必要となるためであろうかと思われます。
 次に,横浜市との協議時期についてでございますが,事業主体のあり方などにつきましてはできるだけ早い段階で協議に入りたいと考えております。
 次に,今後の体制についてでございますが,この4月に総合的な交通政策を所管する組織を設置してまいりたいと考えており,そこでこの業務を取り扱ってまいります。以上でございます。

雨笠裕治 委員 お答えをいただきました。大体7キロメートルの半分ぐらいが川崎市分ということですが,横浜市営地下鉄3号線約7キロメートル弱の延伸は,運輸省の試算では1,400億円程度。私のもらった資料では1,350億円と書いてあったんですが,川崎市の負担区分は,先ほどお話がありましたが,7キロメートルの半分程度になり,一般会計の負担はどの程度見込まれるのか。これは実施主体が横浜市交通局の場合,完全にそれが確定をした場合ですが,また地下鉄の構造上,建設費用の試算には,川崎縦貫高速鉄道と比較をして差異があると思うんですが,これについてもお伺いをします。以上です。

◎黒岩清忠 まちづくり局長 横浜3号線の延伸に係る川崎市の負担についてのご質問でございますが,事業主体を横浜市交通局と仮定した場合には,自治省通達により,川崎市域につきましては川崎市が補助することとなっておりますので,地下高速鉄道事業費補助を想定しますと,川崎市一般会計の補助が事業費の約20%となり,そのうち,60%が交付税措置されることになります。また,建設費用の試算につきましては,2つの路線の事業計画の熟度が異なることから,現時点での比較は大変難しいものと考えております。以上でございます。

雨笠裕治 委員 川崎縦貫高速鉄道は,かなり調査をした結果,あのような試算が出たわけですから,横浜市営地下鉄3号線は,地表部を多く通ったりしていますので,今のところ,キロ200億円程度と見込まれているんですが,川崎市の麻生区に入ってまいりますと,キロ300億円という試算に該当してしまうのかな。そのばらつきがまだかなりあるんですが,今出ている数字で,私なりにちょっと試算をしてみました。川崎縦貫高速鉄道は1期4,800億円のうち,800億円が市の一般会計の負担分と代表質問でのご答弁をいただきました。横浜市営地下鉄3号線は,この運輸省の数字をもとに試算してみますと,川崎市分の負担は約56億円で済むことになります。ただ,キロ300億円になると80億円程度までいくということはありますが,麻生区行きの交通不便地域の解消に対して考えると,効果の高い金額ということは共通認識だと思います。
 川崎縦貫高速地下鉄と横浜市営地下鉄3号線は,採算上からも収益確保のために両路線間を極力離すとされてきました。採算を確保するために距離を離します。ここで大事なことは,今申し上げましたように,いかに麻生区内の交通不便地域の解消を地下鉄3号線を使って,もう一方でカバーをしていくか,新幹線や横浜方面へのアクセスを達成するかということです。例えば,厳しいマイコンシティの事業なども,地下鉄3号線が早期実現をされれば,栗木から新横浜駅まで電車に乗れば約25分,非常に好条件が整います。そのためにも,いろいろな問題もありますが,市民への意識調査や積極的な情報公開を実施して,この問題についての認識も高めていくべきと思いますが,お考えを伺います。

雨笠裕治 委員 情報公開が可能な中で,ぜひ,市民にもお示しをいただきたいと思います。
 そこで,市長にお伺いいたしますが,横浜市営地下鉄3号線2015年までに着手が適当な路線とされましたが,この着手が適当という意味合いは,努力をして実現が早まれば,それにこしたことはない。そのことは市長もお考えは同じだと思います。そのことを決して制約するものではないと理解しておりますけれども,これについての市長のお考えと,さらに川崎・横浜両市のトップ同士の早期整備への認識が,私はやはり不可欠と思っておりますので,七都県市の中でも熟練した先輩市長として,横浜市長との話し合いの場も,ぜひお考えと思い伺います。

◎髙橋清 市長 横浜市営地下鉄3号線の延伸問題でございますが,大変重要な鉄道でございますので,我々もこの問題に非常に関心を持っているわけでございますが,何しろ川崎市では,全会一致で推進を図ってもらいたい決議をいただいております川崎縦貫高速地下鉄が,まず順位としては第1位ということで,私たちも審議会にそのことを訴えてまいりましたので,ご承知のような結果になったわけでございます。横浜市では,あの問題についても大分力を入れておられるようですが,先ほどまちづくり局長が申し上げましたとおり,両市にまたがっている点もありますし,順位からいうと,もっと重要な問題が横浜市ではあるようでございまして,したがいまして,あのような状況で説明があったわけでございます。私たちも横浜市営地下鉄3号線をどう整備するかについては,これから話し合いをしなくてはいかぬですが,何しろ,私たちは横浜市長との話し合いもまだ準備もされておりませんし,それほど煮詰まった問題でもございません。したがいまして,第一順位の方で頭がいっぱいでございまして,こちらのお金をどうするか,補助金をどれだけ多くいただくかということで一生懸命やらなくてはいかぬと思っておりますので,余り横浜市営地下鉄3号線にくちばしを入れますと,川崎市の方がもっと余計出せと言われますから,なるべく慎重に,向こうが乗り気になってきたときに横浜市に余計出してもらうというのも作戦かと思います。
 といいますのは,ほんの短い区間ですから,向こうに熱意がありましたら,川崎市の分も出してあげるぐらいのことは言ってもらえるとも思っています。というのは,今の鉄道状況からいいますと,一番必要とする人がお金を余計出すという慣習になっておりまして,南武線の問題の場合にも9割は川崎市が出さなくてはいかぬ。それから,京浜急行の地下化についても,9割は川崎市が出さなくてはいかぬ。それはどうしてかといいますと,市が必要ということを訴えてきますと,お金はそちらの方が出すのが常識になっておりますので,私たちは自分たちでやります。川崎縦貫高速地下鉄は自分たちみずからのものですので一生懸命やりまして,それから向こうの方も熱意を示してきてくださったら,それには応じて話し合いもしていくという態度で今のところおりますが,それは,決して麻生区市民が,横浜市営地下鉄を必要としていることに反対しているわけではございませんで,物の順序がありますから,こちらは2番目という考え方を私たちは持っておりませんと,川崎縦貫高速地下鉄に力を入れないとそしりも受けますので,現在のところは縦貫高速地下鉄一本でやって,向こうの方がやや具体化,めどがつきそうという段階では,必ず話し合いをしなくてはいかぬ段階が来ますから,そのときは応じてまいりたいと思っている次第です。以上です。