様々な人が乗っては降りてまた乗って
人の営みの如く淡々と流れていく電車。
駅は始まりでもあり終着点でもあり
時にはじっと留まる事も出来る。
そんな場所が
2人の人生を語る舞台である事が
ストンと腑に落ちる。
小さな電車がのどかな風景を走っていく。
全編に流れる抑えた色のトーン。
2人の男と女が溶け込んでいく…
俊介は加奈子の過去を力ずくで見せつけられ
打ち消して、受け入れようと闘い、
正論で自分をなだめようとしたり、
…だけど、どうしても無理だった。
払っても払っても目の前に現れてくる
彼女の陵辱された姿。
いつのまにか自分の都合よく
清らかに作りあげていた彼女の虚像。
苦しんで考え抜いて出てきた答えは拒絶だった。
加奈子は幸せになりたくて
俊介を失いたくなくて
真実を伝える事ができなかった。
しかし彼と微笑みあう度に、
たわいもない幸せを感じ合う度に
自分で自分に刃を当ててきたんだろう。
「加奈子さん、早く会いたい」
このメールの文字を見て
加奈子は
遂に傷みに耐えられなくなったに違いない。
俊介が憎しみにも近い辛い気持ちで
降り立ったホーム。
反対側のホームに加奈子をみた。
「あなたと幸せになりたいの」
加奈子が俊介に向けたこの言葉。
とてもとても違和感を感じてしまった。
彼女ならこんな言葉は発しないと思った。
俊介が全てを知ってしまった今
もう充分に傷ついてきた加奈子は
たとえ忌み嫌われ拒絶されたとしても
直接、彼に伝えたかった事。
それは許しを乞うことではなく
捨てないでとすがるわけでもなく
卑下して身を引くわけでもない。
むしろありのままの自分を見てもらえた
清々しい気持ち…伝えたい言葉は
「あなたの事が好きです」
これだけだと思う。
加奈子と線路越しに対峙する。
来た電車に乗れば2度として交わることのない
向かい合うホームで。
2人の運命をリンクさせる演出。
最後に俊介が発した言葉。
電車でかき消されだけど
加奈子には届いた筈。
「そこで待ってて」
これしかない。
愛って何だろう。
頭の中で一晩中悩み、出した結論なのに
真っ直ぐ向き合った瞬間、崩れていく。
そこに向かうから
君の居る所に向かうから
待っていて欲しい
多分そこが
自分の辿り着くべき「終着の場所」だから
待っていて欲しい
なんて完成度の高い作品だったのだろう。
あの「花火」の楽曲をここまで広げて
人を愛する事の意味を表現している。
感動しました。
心がとっても澄んでいく様な
気持ちの良い映像でした。
最後に町田さんの話。
どんな役柄も
演じる役者が入って初めて動き始める。
どんなに演技したって
役者の心根や生き様が行き写されてしまう。
俊介が未だ青く頼りなげで
喜びに満ちていて
真っ直ぐに上を向いていて…
最高やん
その瞬間俊介は
世界で一番幸せになって欲しい男や〜!
私が守ってあげる〜的な
好き〜!好きが止まらん〜的な
このわざわざ別撮りされたPR画像の意味が
今、わかりました。
手が再び触れ合う瞬間に思える
そして
俊介と加奈子の指先はそっと触れて…
しっかり握りあった…
(yusway作妄想エンドロール)
町田さん・珠玉のウェブインタビューあれこれ
Movie Collection
http://www.moviecollection.jp/interview_new/detail.html?id=764
ムビコレインタビュー動画
モデルプレス
https://mdpr.jp/interview/detail/1742078
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