切ない雰囲気を書いてみたくて手を出しちゃいました‎𖦹‎ ̫ 𖦹‎‎
未練たらたらな感じが個人的にめっちゃ好きなんです・.。*



「なんでっ、かなぁ、」

ベランダで未だにやめられないたばこを咥えながら1人で涙を流すこの時間が嫌いだ。

理佐と付き合っていた頃はたばこなんて大嫌いだった。吸い殻を見つけるたびに悲しくなったし、理佐の服からたばこの匂いがすると不機嫌になったりもした。

それでも吸うのをやめやれないのはきっと忘れられない記憶があるからで、その記憶を忘れたくないから。大きなため息をついて火を消した。

「由依さん、風邪ひきますよ」

「ひかる、上着ありがと、」

「また、思い出しちゃいました?」

「ちょっと、ね」

背も低くて女の子らしくて年下でたばこを吸わなくて。あの人とは真逆な特徴を持ったひかる。美人で可愛いのは2人ともだけどやっぱり雰囲気や温もりはどこか違くて。

「冷えちゃいますよ。戻りましょう。」

「まだ、あとちょっとだけ、」

「あと少しだけですよ、」

「ん、ありがと、」

長くなるのを見越してるのか、暖かいお茶を持ってきてくれて申し訳なくなる。

「やっぱり私じゃダメですか?」

大きな瞳があまりにも悲しそうでひかるの頬に手を寄せた。

「もう、終わりにしよう」

「なんでっ、」

「だって苦しそうな目してる」

「そんなことっ、」

「今までありがとう」

ドアを開けると外は明るくなり始めていた。私の頬を濡らしている液体は止まることを知らなくて、ぽたぽたと地面を濡らす。

『もういいよ』

空の方から理佐の声が聞こえた気がした。重りが取れたように一気に体が軽くなった。優しい朝日が見えた。