結構どろどろしてる小林×藤吉の中編です。注意してください。ゆっくりゆっくり更新していきます🐢



「もう、苦しいんです。助けてください」

こんな苦しそうな夏鈴ちゃんの声で助けを求められたのは初めてで異様に胸が高鳴ったのを覚えている。



まだ8月の匂いが残る9月1日。新学期に重たい足を動かしてまだ誰もいない教室へ。綺麗に揃えられた机。あの子の机には花瓶と白い菊が一本。

あの日から何もかもが変わった。夏鈴ちゃんの生活も私の生活も。新学期になってから毎日一緒に帰るようになった夏鈴ちゃんはいつもぼろぼろで、綺麗で、透き通るような白い肌にとても似合っていた。

「由依さん、今日も待っててくれたんですか」

「当たり前でしょ」

部活に入ってきた新入生の中、一際目を引かれる存在があった。それが藤吉夏鈴。一目見た瞬間から私のものにしたいと思った。学年が違う私たちは学校で会うことはほとんどない。そのため私が一年生の下駄箱まで迎えにいっているのだ。

「今日の傷はどうしたの?」

「猫に引っ掻かれちゃいました」

「そっか。」

切れている唇、ところどころ青緑に変色している肌、抉られたような傷。これははどう考えても猫ではない。私は知っている。夏鈴ちゃんがあの日から同級生のおもちゃになっていることも、それを隠していることも、私以外にも言えていないことも。

それでも私は絶対に何でも言ってね、なんて言わない。夏鈴ちゃんの口から助けを求められるまで絶対に手は差し伸べない。ただ横に居る。そう決めたから。

「じゃあね」

「また、明日」

いつも夏鈴ちゃんは噛み締めるように、自分に言い聞かせるように、また明日、と言う。

明日が来るのが怖い?私は毎日楽しいよ。