私が小学校3~4年生の頃に担任だった、
メガネに白髪の男性S先生。
当時、多分50歳前後だったと思いますが、
保護者からも人気があり生徒からも尊敬されていた様に思います。
私の実家では、
私が生まれる前から犬を飼っており、
犬の他にも猫もウサギも小鳥も金魚もザリガニも
色々な動物たちと共に
私はずっと暮らして来ました。
ある日の授業中S先生は言いました。
「地球上で心を持っている生き物は人間だけです。」
「動物や鳥や虫や魚には心はありません。」
と。
勉強が大嫌いで団体行動はそれ以上に苦手な私は、
授業中は常に限りなくボーーーーーとしていたのですが、
その時ばかりはハッ!!!!!と目を見開き、
自分の耳を疑いました。
しかしS先生は続けます、
「犬や猫には心は無いのです、心があるのは人間だけです。」
と...。
私はビックリしながら真ん中より少し後ろの席から
40人程居るクラスを見渡しましたが、
誰一人として反論を言い出しそうなコはいません。
それどころか、
うん、うん。
と頷いているコがたくさんいます。
この時
「そんな訳な~~~いっ!!!」
と思ったのは私だけなのかも知れません。
動物と一緒に暮らしているコは私の他にもたくさんいるだろうに、
先生の言葉を鵜呑みにしているクラスメイトに、
何十歳も年上なのに平気でそんな事を言い放つ担任に、
私は愕然とした事を今でもよく覚えています。
その日私は家に帰り、
学校へ提出する日記帳に
「犬にも猫にも、人間以外の生き物たちだって心をちゃんと持っている。」
と言う内容の作文を一生懸命書いて
翌朝提出した事を覚えています。
その後その作文は、
学校が作成している優れた作文だけを集めた文集に掲載され、
万年落ち零れ街道まっしぐらだった私の作文が掲載されたと
母は大喜びしていましたが、
私は何一つ嬉しくもなんともありませんでした。
先生と言う職業をしている人が、
自分より遙かに年上の人が、
一人の人間として道を示し
人を育てて行かなければならない人が、
なんて不遜な心を持っているのか。
そして、そんな人の言葉に何の疑いもなく
うん、うん。
と頷き、耳を傾けているクラスメイトたちを、
ただ虚しく思うばかりでした。
保護者たちはこの先生のいったい何を見て
「素晴らしい先生だ!」
と言っていたのか?
S先生はいったい
何を見て、何を聞き、何を感じ、何を思い、何を考え、
ここまで生きて来られたのか?
地球上で人間だけが素晴らしい生き物ではないし、
自分一人で生きている訳でもないのに。
犬にも猫にも他の動物にも心はあるよ。
きっと鳥にも虫や魚や植物にだって心はある。
驕り高ぶるな。
S先生の口癖は、
「このっ!戯け者がっ!!」
でしたが、
戯け者は誰?
