公開年:2022年
上映時間:123分
監督:片山慎三
出演:佐藤二朗、伊東蒼、清水尋也、森田望智、石井正太朗、松岡依都美 他
いつもワタクシの駄文を読んでいただきありがとうございます。感謝ですm(_ _)m
監督は『岬の兄妹』(2018)の片山慎三。主演は『ザ・ファブル』(2019、2021)、『今日から俺は‼︎劇場版』(2020)、『新解釈・三國志』(2020)の佐藤二朗。
では、『さがす』の感想、いってみましょう。
★4.0
指名手配中の連続殺人犯を見たんやで、捕まえたら300万円貰えるんやで、と言って翌朝に姿を消した父親を娘がようやく捜し出して会いに行くと、そこには同姓同名の他人(=指名手配中の連続殺人犯)がいた…というサスペンス。
ウルトラスーパー個性派俳優の佐藤二朗さん主演のサスペンスということで、いろんな意味で(笑)怖いなぁなんて思いながら観に行ったんですが、まったくの杞憂に終わりました。おふざけ無しの佐藤二朗さん、素晴らしかったです。
そして、作品の方も素晴らしかったです。
サスペンスとしてのおもしろさもあり、死生観について考えさせられるような人間ドラマとしての深みもあり、ちょこっと笑えるようなエンタメ性もあり、思った以上に見応えがありました(重くて苦しくて悲しくて、鑑賞後は気持ちが暗くなりましたが…)。
人間誰しも生きる権利は持っている、というのは言わずもがなですよね。でも、死ぬ権利っていうのはどうなんでしょう。
誤解を恐れずに言うと、生きる権利と同様に死ぬ権利も持っているんじゃないかなと、本作を観て思ってしまいました。
佐藤二朗さん演じる原田智の奥さんは難病にかかってしまい、介護が必要な体になってしまうんです。で、死にたいと。でも智は優しく健気に奥さんを介護するわけですよ。
智にとっては愛する奥さんだから、どんな状態であれ生きていて欲しいと思うのは当然。でも、介護を受ける奥さんにとって、死にたいと思っている奥さんにとって、生きることは幸せなんでしょうか。
死にたい奥さんを介護する智、死にたいのに生かされている奥さん、この2人の姿は生き地獄のように見えて、いたたまれなくなりました。
そしてある悲しい事件が起きるんです。ホントに悲しいです(ネタバレになるので詳しくは書けないですが)。もちろんどんな理由であれ、人の命を奪うことは犯罪だし許されることではない。でも、自らが望んだ死であれば、死ぬことで救われるのならば、「死ぬ権利」の行使は許されるのかもしれないなぁなんて思ってしまってね。奥さんは救われたんじゃないのかな、悲しいけど。(数年前に起きたALS患者の嘱託殺人事件を思い出した。)
圧倒的な苦しみから解放される死、人としての尊厳が傷つけられないような死、安楽死や尊厳死という「死ぬ権利」というものを法として認めてもいいんじゃないかなぁ、とか思いました。
重くて苦しくて悲しい作品ではあるんですけど、その中で心を軽くしてくれたのは清水尋也さん演じる変態殺人鬼山内の存在。めちゃくちゃ気持ち悪くて最高でした。
殺人鬼も昔は普通の人間だったんだよ、というような過去や背景が描かれずに、ただひたすらに気持ち悪い奴として山内を描いのは大正解。智の過去がかなりキツかったので、これに加えて同情を誘うような山内の悲しい過去でも描かれたらもう耐えられなかったかも。みんなに感情移入しちゃって気持ちがぐちゃぐちゃになってたかも。単なる気持ち悪い変態殺人鬼として描いてくれてありがとう!(なんだそりゃ)
役者さん的には、佐藤二朗さんに関してはもう何も言うまい。最高でしたよ。とにかく、見て。
変態殺人鬼・山内を演じた清水尋也さんも出色でしたよ。清水尋也さんって、カッコいいけどちょっと生意気そうな顔つきじゃないですか(『東京卍リベンジャーズ』の半間なんてまさにハマり役)。そこが不敵な感じの山内のキャラにハマっていて最高でした。
妙に存在感があって、いい意味で癖のある役者さんだなと思いましたよ。主人公の敵役とかめっちゃ似合いそう。
あとは智の娘・楓を演じた伊東蒼さんも良かったです。元々関西の子なのかな。関西弁が上手だったし、中学生特有のひねくれた感じも出ていたし、雰囲気が若き日の志田未来さん(今も十分若いけど現在28歳)っぽくて初々しくて可愛らしかったなぁ。新たな才能を発見した感じです。
生きる権利だの死ぬ権利だの、安楽死だの尊厳死だの、強烈な言葉を書いてしまったけど、そのくらい「死」について考えさせられる作品でしたよ。
役者さんたちの熱量も相まって、いろんな思いや感情が心に突き刺さってきて、鑑賞後もちょっと引きずってしまいました。
展開的にも映像的にもヘビーなので、気楽には観られないとは思うけど、ストーリー的には決して難しくはないので観やすい作品ではあると思います。が、それなりに心して観た方がいいのかなと。
笑い無し、ガチの佐藤二朗さんの演技が観たい方はぜひ。
おしまい。
