公開年:2021年

上映時間:139分

監督:白石和彌

原作:柚木裕子

出演:松坂桃李、鈴木亮平、村上虹郎、西野七瀬、音尾琢真、早乙女太一、渋川清彦  



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監督は前作『狐狼の血』(2018)に引き続き白石和彌。主演は前作『狐狼の血』で新人刑事の日岡を演じた松坂桃李。



では、『狐狼の血 LEVEL2』の感想、いってみましょう。


★3.8




警察権力を用いて広島の裏社会を仕切っていたマル暴刑事・日岡(松坂桃李)の前に、出所してきたヤクザ・上林(鈴木亮平)が現れる。その上林によって、広島の裏社会の危うい秩序が乱れていくというヤクザ映画。




裏社会の人間たちとウィンウィンの関係を築いてうまくやっているマル暴刑事・日岡と、出所したゴリッゴリの武闘派ヤクザ・上林の対立という、基本的には至ってシンプルなストーリー。グロいシーンが多々あるものの、とても観やすくてエンタメ性の高いヤクザ映画で、飽きることなく最後まで楽しめました。




前作の主人公・大上(役所広司)の後を継いだ日岡のマル暴刑事っぷりは魅力的だったし、圧倒的武闘派ヤクザ・上林はマジで狂っていて恐ろしかったし、その2人のバッチバチな緊迫感漂うやり取りはもう最高にテンション上がりました。


特に上林ですよ。というか、鈴木亮平さんですよ。有無を言わせない圧倒的恐怖、圧倒的狂気、登場するだけで死の匂いが漂ってくる圧倒的なオーラ。存在感抜群。


日岡を演じた松坂桃李さんは言わずもがなですが、痛々しくて悲しくて小物感たっぷり(褒めてる)の村上虹郎さんも、スナックのママを艶っぽく演じた西野七瀬さんもよかったんですが、みんな鈴木亮平さんに食われちゃいましたね。


他には吉田鋼太郎さんとか宇梶剛士さんとか斎藤工さんとか名だたる俳優さんが多数出演されていましたけど、やっぱりみんな鈴木亮平さんに食われちゃいましたね。それくらいに本作の鈴木亮平さんの存在感、インパクトは出色でしたよ。


まぁ、要は鈴木亮平さんのひとり勝ち作品ってことです。


2021年に放送されたTBS系ドラマ『TOKYO MER 〜走る緊急救命室〜』(2023年に劇場版が公開されるらしいです。楽しみ!)では、どんな状況でも命を救おうとする正義感あふれるドクターを好演されていたんですが、本作の上林なんて人の命なんてゴミクズのように思っているような狂人キャラですからね。演技の振り幅が大きいすげぇ役者さんだなと、本作を観てあらためて思った次第です。




キャラクター的なおもしろさというのは存分に感じられたんですけど、うーん、ドラマ的な部分がが物足りなかったですね。


前作では、正義感溢れる優等生刑事の日岡が伝説のマル暴刑事の大上(役所広司さんがよかった!)と行動を共にするにつれて、正しいことだけしていてもマル暴刑事としてはやっていけない、清濁併せ持つ必要があることに気付いて葛藤するわけです。


そんな日岡がマル暴刑事らしく闇堕ち(?)していく様といいますか、マル暴刑事として成長していく様であったり、大上との人間ドラマがすごくおもしろかったんですよ。


おそらく日岡と西野七瀬さんと村上虹郎さんの3人の関係性が本作のドラマパートだったとは思うんですけど、村上虹郎さんの背景描写(ヤクザから足を洗いたいと思っている理由)が弱くて、感情移入しきれなかったんですよね。愛する人のために堅気になりたいというような切なさが欲しかったかな。




そうそう、日岡とバディを組んた瀬島(中村梅雀)はよかったなぁ。日岡と組んだ時点で死亡フラグが立ったと思ったらまさかの展開が待っていてね。この仕掛けはお見事で、完璧にダマされました。ただのロートル刑事ではなかったんですよね。日岡と瀬島のやりとりや関係性は見どころのひとつだし、何かしらの伏線が隠されていたのかなぁなんて、今度もう一度観てみようかしら。




街の治安を維持するために正義の味方であるはずの刑事が悪に手を染めることの賛否、清濁併せ持つことの必要性、みたいなところは前作同様に考えさせられました。が、前作の方が欲望渦巻く人間臭さみたいなギラギラした感情が充満していて興奮したし、そして何よりドラマがあったように思います。


鈴木亮平さんの怪演のおかげでかなり強烈でインパクトのある作品にはなっていましたが、逆に言うとそれだけだったような気がしないでもない(全部鈴木亮平さんに食われたとも言える)。役所広司さんのような作品を引き締めてくれるような役者さんがいたらもう少し違ったかもしれないですね(ってお前何様だよって感じですよね)。




続編作品なのでね。どうしても前作と比較してしまうんですが、個人的には前作の方がおもしろかったかなぁ、と。


鈴木亮平さんの狂気が見たい方はぜひ。




おしまい。