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公認心理師・臨床心理士の

 

中村友一(なかむらゆういち)です。

 

いつもお読みいただきありがとうございます

 

 




「同情」と「共感」、


似たような2つの言葉ですが、


これらはやはり少し異なるニュアンスが


あります。


同情とは、第三者的な立場から、


「かわいそうねぇ…」と思うことです。



これには、安全が確保されている場所から、


辛く苦しい状況にある人を見下ろすような


ニュアンスが含まれるので、


同情された相手は


「あなたは恵まれているからいいよね…」


「あなたには私の気持なんか


分かりっこない!」


と思うことでしょう。


一方で、共感とは、


(相手が置かれている状況や、


相手の考え方・価値観を理解しながら)


相手が感じている感情の一部を、


自分も同じように感じることと言えます。



ということは、


相手がトラウマ・心の傷を抱えている


状態であれば、共感していく中で、


カウンセラー側もその心の傷の一部を


一時的に疑似体験することになります。



つまり、深い共感を行うカウンセラーは、


カウンセリングの中で全くの無傷のままでは


いられないということです。



そして、


一部であっても、一時的であっても、


「自分と同じような傷を


カウンセラーも負ってくれている」


とクライエントが感じるからこそ、


「この人はわたしのことを分かってくれる」


というように、カウンセラーのことを


信頼するようになるのです。




例えるならば、


流れが速い川で溺れている人がいるときに、


対岸の高いところからその様子を眺めて


「なんか大変なことが起きてるな」


と言うのが同情、


その流れの中に飛び込んでいくのが


共感です。



ただし、ここで注意してもらいたいのが、


無防備で考えなしに


流れの中に飛び込んでいくと、


助けになるどころか


自分もおぼれてしまって


「共倒れ」になり、


犠牲者を増やしてしまうことが起こり得る


ということです。



同様に、カウンセリングにおける共感でも、


クライエントの悩み・苦しみの渦の中に、


カウンセラーもどっぷり浸かって


抜け出せなくなってしまったら、


元も子もありません。



川でおぼれている人を助けるために


飛び込むときには、事前に、


周囲の状況を確認する、


泳ぎのスキルなど自分の力量と


救助の難易度を照らし合わせる、


救命胴衣や命綱などの装備を出


来るだけ揃える、


そして、


自分以外に救助に入れる人や


サポートができる人がどれくらいいるのか


を確認する、


といった準備をしっかり行う方が


望ましいです。



同様に、カウンセリングにおいては、


クライエントが置かれている環境や


周囲の人との人間関係、


クライエントの生い立ちとその中で


培われてきた考え方や価値観、


などといった様々なことを把握し、


見立てる(アセスメントを行う)こと


が大切です。



また、


クライエントの悩み・苦しみの渦の中に


入っても、一緒に頭の中を整理しながら、


渦から這い上がれるようにガイドしていける


だけの、知識やスキルを事前に習得しておく


ことも必要です。


そして、


問題が多岐にわたっていたり、


より専門的な支援が必要だと判断した


場合には、


他の専門職・専門機関と連携して


対応することも求められます。




更にカウンセラーに求められるのは、


直前のカウンセリングでどっぷりと


渦に入っていたとしても、


次のカウンセリングが始まる前までに、


自分の心身をしっかりリセットして


準備を整えられるように、


リフレッシュ方法を身につけておく


ことです。




専門的なトレーニングを受けていない人


であっても、


身近な人の悩みに対して共感的に


話を聴くことで、


相手の心が軽くなることも多くあります。



そのように話が聴くことができる人が


一人でも増えていくと、


より生きやすい世の中になっていく


ことでしょう。



一方で、


悩んでいる相手を放っておけない


ということで、とことんまで話を聴いて、


自分も疲弊してしまうというエピソードも


よく耳にします。




「共倒れ」を防ぐためにも、


話を聴く上で、時間や頻度の制限を設けて、


「ここまでだったら話を聴くよ」と


あらかじめ相手に伝えるように


してください。



これは家族や大切な人が相手


であっても同じです。



むしろ距離が近い人同士だからこそ


泥沼化しやすいので、注意が必要です。


そして、


自分の心身を整えるための時間を


必ず確保するようにしてください。
 

 

 

 

 

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