公認心理師・臨床心理士のゆうです。
いつもお読みいただきありがとうございます。
ネタになることも多く、なんとなく怖いなぁ
というイメージをお持ちの方もいらっしゃる
と思います。
医学的診断名では「解離性同一性障害」と
呼ばれ、私も何人かのクライアントの
カウンセリングを担当したり、他の
臨床心理士が担当していたクライアントさん
の様子を垣間見たことがありました。
カウンセリング中に「頭が痛い」としばらく
苦しんだ後に、幼い子どもの人格に変わり、
しゃべる様子もお絵描きをする様子も
幼稚園児のようになる人もいれば、
カウンセリングに来るたびに衣服・メイク
・アクセサリーや醸し出す雰囲気が全く
変わる人もいたりしました。人間以外の動物
のごとく、四つ足で廊下を駆け抜けていった
人を見たこともあります。
解離性同一性障害になる要因はいくつか
ありますが、幼少期の頃のひどい虐待など、
強い心理的ショックを受けた人に起こる
ことが往々にしてあります。特に、女性の
場合は、性的虐待・暴行を受けたことが原因
となることが多いと言われています。
もともと「解離」というのは、何か心の傷に
なるようなショックを受けたときに、
「このままだと自分の心が耐えきれない」
と判断し、ショッキングな出来事の記憶が
含まれる自分の心の一部分を「分割」して、
他の部分を守ろうとする心の働きのことを
指します。
解離性障害も、初めは特定の出来事の記憶
だけがすっぽり抜けてしまう「解離性健忘」
の状態ですが、症状が重篤になってくると、
分割した心の一部分が独自の人格を持つ
ようになることが起こり得ます。そして、
別人格が表に現れている間の出来事を、
元々の人格は覚えていないことが多いです。
記憶がブツ切れな状態のつらさは、経験して
いない人には中々想像できないものです。
加えて、周りの人たちの無理解によって
孤立感が強まることで症状が悪化し、
別人格の数が増えていくことも起こります。
治療方針として人格の統合を目指す人も
います。ただ、無理に統合するというよりは、
複数の人格を抱えながらも何とか適応しながら
社会生活を送っていく方法を模索していく
ことが現実的だと考えます。
元々別人格は、本人の心を守るために
生まれたものです。
実際にカウンセリングの中で、
「〇〇ちゃん(別人格の女の子)はねぇ、
〇〇お姉さん(元々の人格)を守ってるんだよ!」
と言ってくれることもありました。
別人格の存在を、自分自身も周囲の人々も
受け入れ理解しようとすることで、孤立感が
和らぎ、本人の感情が少しずつ落ち着いて
きます。
クライアントの中には、複数の人格同士
で意思疎通を図り、自分の中で話し合いが
できる人もいました。そうやって
「自分の中のみんな」で協力しながら
生きていくことで、周囲の配慮を受けながら
も、今もしっかりと社会生活を送っている
そうです。
人の心は誰しもなんらかの多面性が
あります。それが連続的につながっている
のか、所々で切れ目があるのかの違いは
あっても、自分を受け入れ相手を受け入れる
ことが大切であるという基本的なところは
変わりません。
もし、自分の周囲で該当するような症状を
持つ人がいる場合、あるいは、自分自身が
該当するのではないかと思っている場合は、
医療機関に相談した上で、対象の人の中にある
辛さと、その辛さから何とか自分を守ろうと
健気に頑張っている心を理解し、寄り添うように
してください。
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