それからというもの、梨苑は俺の唯一の友達になった。

授業中には、俺が梨苑に勉強を教える事もあったし、梨苑が俺を遊びに誘ってくれたりした。

梨苑のおかげで俺は、他の奴からの嫌がらせがあっても知らん振りをすることができた。
そして、今日も俺と梨苑は2人で帰っていた。


「ねぇっ!今度のハロウィーン休みでしょ?お母さんがたくさんカボチャを買ってきてシチューを作るんだけど、リュウくんも食べに来ない?」

もうすぐ10月31日。ハロウィーンがやってくる。

ハロウィーンといえば西洋のお化けたちが主役の日だが、あいにく俺は今までハロウィーンを祝う事はしたことが無かった。

もっとも、吸血鬼であるエリスさんは別だったが。

「家に帰ったら、行けるかどうか聞いてくる」

「やったぁ!じゃぁ楽しみにしてるね!」

そういって梨苑は帰っていった。

―変わってるよな・・・

ヘルが梨苑を見送っていたとき、誰かが手をヘルの頭の上にポンと乗せた。

「あの子誰~?もしかして彼女だったりして?」

サングラスをかけた吸血鬼がそこにいた。

「エリスさんっ!?何で外に出てきてるんですか!?」

「失礼だな~次に行くところの場所を探すためにわざわざ早起きしたってのに」

「・・・早起き、ですか」

吸血鬼は日の光を浴びると灰になるという話も聞いたことはあるが、エリスさんは日の光を浴びても平気だった。

だが、エリスさんはそれでも日の光は嫌いだし、夜行性の目は日の光には弱い。

だから、昼の外出の際には必ずサングラスをつけている。

「でも、ヘルに彼女が出来たんなら引っ越さなくても平気かな?」

エリスさんは俺の方を向いてニコニコ笑っていた。

「はぁ・・?・・・彼女じゃないですよ?」

「へぇ?じゃぁなんで仲良く一緒に帰ってる訳?」

「・・・通り魔が出没するから一緒に帰りたいって言われたんですよ」

ヘルがそう言った瞬間、エリスは吹きだした。

「・・・何が可笑しいんですか」

「いやぁ~だってさ?私以外にも、ヘルを扱き使える犬だと見抜く子がいたとはね!あはは!」

それは俺に対しての嫌味か。

エリスさんはニヤケながら頷いていた。

「あの子が吸血鬼だったら、きっと優秀な使い魔を見つけられてるだろうねぇ~」

「だからといって本当に吸血鬼にしないでくださいよ?」

この人は危険なのでちゃんと注意しとかないと本当に噛みかねない。

「あ~・・・それは無理なんだよね。今の吸血鬼はもう人を噛んでも移らないから」

・・・なんだ。そうなのか。

ヘルはほっと胸を撫で下ろした。

エリスさんはそれを見てからにやりと笑った。

「ハロウィーンの日は出かけてくるから、彼女の家に泊まってくれば?」

「だから、彼女じゃありませんよ。それに泊まりませんから」

ヘルはそういって家に帰ろうと先に歩き出した。

こんどはエリスがそれを見送りながら溜息をついた。

「やれやれ、どう見たってあの子はヘルに気があると思うんだけどなぁ~・・・」

なんだかしばらくは面白くなりそうだな♪とエリスは思っていた。