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設問1.Xの原告適格

1.Xは本件マンションの建築許可処分の取消訴訟(行政事件訴訟法3条2項)の原告適格を有するか。取消訴訟の原告適格は、「法律上の利益を有する者」に認められる(9条1項)が、建築許可処分に対して近隣住民が「法律上の利益」を有するといえるか。「法律上の利益」の意義が問題となる。

2.「法律上の利益」とは、当該処分を定めた行政法規が、不特定多数者の一般的公益とは別に保護すべきとする個々人の個別的利益をいう。これを前提にして、処分の名宛人以外の第三者の原告適格の有無の判断は、①当該法令の趣旨及び目的並びに②当該処分において考慮され得べき利益の内容及び性質を考慮する必要がある。(9条2項)
また、①を考慮するに当たっては当該法令と目的を共通とする関係法令の趣旨及び目的をも参酌し、②を考慮するに当たっては、当該処分又は採決がその根拠となる法令に違反して去れる場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度を勘案する必要がある。(9条2項)

3.これを本問についてみると、本件処分について定める都市計画法53条1項、54条において、周辺住民の個別的利益を保護する明文の規定は存在しない。
しかしながら、都市計画法と目的を共通にする都市公園法3条1項の委任により制定された同法施行令2条1項、都市計画法13条1項14号、15号の諸規定を踏まえると、都市計画法53条1項は都市計画公園の区域内において建築許可をするときには、防火、非難等災害の防止に資するために将来の事業の円滑な施行を確保するという趣旨を含むと解することができる。
そして、仮に都市計画公園の区域内において、違法に建築許可がされると将来の事業の円滑な施行が妨げられ、防火、非難等災害の防止に支障が生じるため、少なくとも、災害時に当該公園に避難することが想定される周辺住民については、まさしくその生命、身体の安全や健康が脅かされているといえる。
したがって、都市計画法53条1項は、都市計画公園の区域の周辺に居住し、災害時には当該公園を避難場所とすることが想定される範囲内の住民の生命、身体の安全を個別的利益として保護するという趣旨を含んでいるといえる。

4.だとすると、Xは本件都市計画公園の区域の南西端から焼く10mしか離れていない地点に居住しており、現時点では最寄の公園までは徒歩で約20分かかるのであるから、災害時には当該公園を避難場所とすることが想定される範囲内の住民であるといえ、当該処分の取消訴訟の原告適格を有するといえる。