フィギュアスケートという競技は、日々のトレーニングの積み重ねはもちろんのことだと思いますが、「メンタルをどう自分でコントロールし、常にいい状態に保つことができるようになっていくか…」ということが大切になってくると思います。
何千、何万時間と積み重ねて練習してきた成果を、本番のたった何分かの中で、持てる力を存分に発揮させなければならないということ…。
これは凡人にはとうていできない、非常に難しい精神修行のようなものに感じます。
白銀のリンクの上で、誰かに頼ることもできずに、ただひたすら自分自身のメンタルと戦っていく。しかし正確にいうならば、戦うのではなく、そのメンタルとの戦いを超え、無心の域に到達できた者のみが、世界というリンクにあがることができるのでないかと推測されます。
そして更に、その中においても、自らの意志で、意志をも超えた領域との間を、いききする感覚を掴んでいくのではないかと思います。
まさに精神力の競技の極地ではないかと思われます。
たった1ミリの心のマイナスが1ミリの軸の乱れをおこし、その結果がジャンプにあらわれてくる…そんな緊張の場に常にさらされなければならない…。
それに耐えうるには、相当の心の強さが必要となってくるのではないかと思われます。
そしてその強さは日々自分に与えられた壁を乗り越えられた分だけ、与えられてきたものではないかと思われます。
昨晩、私達に、様々な試練を乗り越え、魂のこもった世界の演技を見せてくれた選手の皆様に心からの敬意と感謝を捧げたいと思います。
そんな中でも、金メダルという女王の座を手に入れた安藤選手は本当に素晴らしかったと思います。
安藤選手が試合後、インタビューに答えた時の声を録らせていただきました。(写真の波形)
波形を見ると、特にぬきんでているレッドの色が目立っています。
レッドは生命力、パワー、つきぬけた体の才能です。
頭で考えるのではなく、それを超えた先にあるものに体を預け、そのエネルギーを見事に体で受け止めて表現していくことのできる、体の感覚をあらわしています。
次に多いのがイエローからグリーンにかけてのエリアです。
これは自分の舞台に立っているということを意味しています。
自分のやるべきこと、自分の役割を知り、自分のポジションをつかんでいるということです。
何のために自分が存在しているのかを知り、それを実現させることのできる場に立つということは、自分が無心で、全力をだしていくことによって、世の中にお役にたっていく…ということでもあります。
安藤選手はフィギュアスケートの選手としてだけでなく、安藤選手の存在そのものが、世の中に愛を分かち合っていけるような存在になっていくのではないかと思っています。
今後、ますますのご活躍をお祈りします。
天の音有唯