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アメリカでは年明けに、同僚や友人、親族に、「New Year's Resolution(新年の誓い)」を出し合うのが、まあ、お約束みたいなもの。

ブログという時代遅れ形式な上に長文の目立つここをわざわざ読みに来る、情報に飢えた読者なら、アメリカは肥満大国という認識を持っているだろうし、それは全然、間違っていない。


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事実、『CDC(Centers for Disease Control and Prevention:アメリカ疾病予防管理センター)』が2017年に行った統計では、3億2,000万人の人口のうち、なんと4割にも及ぶ9,300万人が、肥満(Obesity)と診断されていた。

わずか3年前のデータなので、今でもその数字は殆ど、変わってない、むしろ年々、悪化しているんじゃないかとの印象がある。

日本から遊びに来る私の知人たちも、ほんの少し路上を歩いただけで、「なんでこの国ってこんな異常なデブばっかなの?」と、呆れるぐらいだ。


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なので、新年の誓いで最もポピュラーなのは、「lose weight」。

そしてその誓いが、TIME誌がまとめた「速攻で破られる新年の誓い(Top 10 Commonly Broken New Year's Resolutions)」の、上位に入ってくる。


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一方で、アメリカではもうすでに20年選手のビジネス誌『Fast Company』が、2年前に「信念の誓いが続かない理由(This Is When Your New Year's Resolution Will Fail)」というコラムをアップしており、これがなかなか、説得力のあるものだった。

以下、この記事内で書かれている7つの理由を、軽く解説。


(C) 2014 The Business Journals

(1)FOCUS ON GOALS INSTEAD OF ACTIVITIES(個々の行動ではなく、目標に向けて動く)
叶えられない新年の誓いの多くは、目標ではなく、その過程にある行動に重きが置かれているからだ、と記事内のライターは指摘しているし、確かにそれも分かる。
「週3回、フィットネスジムに行く」よりも、「2月までに体重を2キロ落とす」のほうが、目的意識がハッキリしている分、続けられやすい。
記事内では「They're your rudder」と表現されているが、確かに、しっかりした舵取りこそが、この手の「誓い」を達成する、近道かもしれない。



(2)THE STEPS TO SUCCESS SHOULD BE SMALL(叶えたい目標は、より近くに)
要は、目標設定を高くし過ぎると、誰も叶えられない、ということ。
可能な限り手の届きやすい距離に目標を設定するのは、確かに現実的だ。

(3)FIND A QUICK WIN(素早く達成感を得る)
目的到達までの道のりが長すぎると、人間、どっかで挫折する。
ゆえに、手っ取り早く目標に辿り着くことも、継続性を考えると重要だ。
ここで重要なのは「Humans are more motivated by immediately experienced goals than ones they have to wait to receive.」の一文で、正にこれこそが、新年の誓いを続けられない理由のひとつとして、常識的に捉えられる。
別に仕事でないのなら、結果はすぐに、出てほしいものだ。


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(4)EDUCATE YOURSELF AROUND YOUR GOAL(目標達成に必要な知識・情報の取得)
簡単に破られてしまう新年の誓いは、当人の情報不足も関係している、との指摘。
スポーツジムの会員がその典型で、セールストークに騙されていざ入会してみたら、思ったよりも施設の内容がしょぼかったりなどでわずか数回で利用に飽きてしまい、せっかくの会費を無駄にするひとたちが、この国は少なくない。
目標を達成するうえで、必要な情報をしっかり仕入れていくのは、基本だと、確かに思う。
こういう言い方もできる。「タイムラインに現れる情報に惑わされるな」。
実際、フェイスブックやTwitterなどのソーシャルメディアに「中毒になっている」ひとたちが最も警戒しないとならないのが、これ。
嘘の情報ほど耳障りが良く、信じてしまいがちだからこそ、きちんと情報を吟味して、本当に必要な点を取捨選択していくのが、何だかんだで一番の近道だったりする。


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(5)FIGHT BOREDOM WITH VARIETY(単調作業を避ける)
新年の誓いはどちらかというと趣味の世界に近くもあるので、その趣味の時間が単調作業になってしまうと、仕事と違ってお金になるわけじゃないから、飽きても仕方がない。
なので、新年の誓いを果たす行動に関して、クリエイティブになってみはどうか。
例えば、30分のエクササイズなら、10分はランニングマシーン、10分はクロストレーナー("elliptical"と呼ばれる、要は踏み台昇降機)、10分は自転車、との形で、パターンを次々に変えて行動に移す、というものだ。
確かに私も、60分の運動を、午前中に30分のウォーキング、夕方に30分のジョギングとのように分割してから、ほぼ毎日続けられようになった。

(6)CHANGE YOUR LANGUAGE(言語表現を変えてみる)
目標に向かう際の言葉選びも、けっこう重要になってくる、とのこと。
例えば「今年はたくさん稼ぐ」と誓っても、表現が曖昧だから、そんな誓いはいずれは忘れてしまう。
むしろ「今年は去年より$5,000(約50万円)多く稼ぐ」と、目標を具体的にしたほうが、それに向かって進みやすい、ということだ。


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(7)EXPECT TO MAKE MISTAKES(失敗を恐れない)
私自身も痛感するが、失敗を積み重ねつつも、そこから学習し、前へ前へと進んでいく人間が、最も頼りになるし、心身ともに強い。
人種や性別、年齢関係なく、アメリカでのし上がっていく人たちに共通しているのは、失敗を恐れず自分のできることを片っ端から試しつつも、なぜ失敗したのかを冷静に分析し、同じミスを繰り返さないこと。
会社経営を軌道に乗せている社長さんがたは例外なくこのパターンだし、結果を出さないとすぐに切られるこのアメリカ社会で逞しく生き残っている私の知人らも、何かしらの苦労を積み重ねている。ゆえに、いざというときの立て直しが早く、適応力・対応力が非常に高い。
じつにアメリカ的な助言というか、これは、真理だな、と思う。

……以上が、何らかの参考になれば、幸いだ。

(Stephen)