この数年にわたる懸案だった改正出入国管理・難民認定法が参議院本会議で与党と日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決成立しました。残る最大の課題の防衛財源確保法案においても、立憲民主党は委員長解任決議案や大臣問責決議案などで審議遅延を図るだろうと言われています。しかも、最後には内閣不信任案を出す構えのようです。

 ただ、奇異に感じるのは、「野党が内閣不信任決議案を出すことと衆院解散は関係ない」(安住淳・国会対策委員長)などと不信任を出しても衆議院解散・総選挙を行うべきではないとの考えを示されていることです。



 内閣不信任が可決された場合、内閣総理大臣は内閣総辞職か解散総選挙のどちらかを選択しなければいけません。内閣総辞職をしても、自民党が圧倒的な議席数を占めているので新たな自民党内閣が誕生することになります。立憲民主党は「岸田内閣に代えて別の自民党内閣を誕生させたい」と考えている訳ではないと思います。であるならば、野党として内閣不信任案を突き付けるということは「解散総選挙をしろ!」と言っているに等しいと思います。

 不信任を出すならば「自民党と立憲民主党、どちらが正しいか国民に聞くべきだ」と堂々と主張されるべきです。「不信任を提出しても与党に否決されるだけだから…」との思いが垣間見えるので、日本維新の会の馬場伸幸代表から「夏になれば盆踊りをするように会期末になれば不信任案を出すといった国会の慣例には全く協力する気はない」と指弾されてしまうのだと思います。

 私が政治記者時代、野党民主党も野党自民党も不信任案を提出する時は相当な覚悟を持って臨んでいました。「不信任は出すけど解散は困る」では野党第一党の体をなしていません。

 どの政党が国家を担う覚悟があるのかが分かる大事な局面を迎えると思います。