安倍晋三元総理(総裁)が凶弾に倒れ、帰らぬ人となりました。悔しくて悔しくて仕方がありません。

もう二度とお話を伺うことはできなくなりました。先月、東京でのスピーチが、私にとっての最後の言葉となりました。一部ではありますが書き留めていたものをここに記したいと思います。

「憲法が制定されて相当の年月を経た訳ですが、自衛隊は最も信頼される組織ではありますが、『自衛隊は憲法違反ではない』と言い切れる憲法学者は2割ちょっとしかいない。よって多くの教科書、特に東北では全ての教科書で『自衛隊は違憲の論争がある』という記述がある。あの東日本大震災で命を賭けて頑張った自衛隊の諸君の子供達もその教科書で学ばなければいけないという状況は続いている。私が総理の時、中東に自衛隊を送り出す式典のすぐ横でデモが行われ、『自衛隊は憲法違反』というシュプレヒコールが起こる中で送り出しをしなければいけなかった。見送りに来ている家族や子供もそれを聞いていたんです。これまで信頼を勝ち得てきたのは自衛隊の血の滲むような努力の成果だ。これから私達、政治家に課された使命は違憲と言われている状況に終止符を打つことではないかと思います。今、ウクライナで祖国を守るために命を賭けて戦っている彼らの姿から私達も学ばなければいけないと思う。憲法9条の議論の機運は相当盛り上がってきていて、共産党ですら『急迫不正の事態には自衛隊に頑張ってもらう』と言わなければいけない事態になってきましたし、公明党のみなさんも、書く場所の問題はありますが、憲法に自衛隊を明記するというところまでは来ている。緊急事態や参院選の合区問題、教育の問題もありますが、9条の議論を避けるという姿勢は取るべきではないと思います」

「骨太の方針はいい出来だったと評価をしたい。しっかりと国家の意思が示された。NATOでは1カ国の例外もなく、(国防費は)GDP比2%という目標で合意している。なぜGDP比なのか。経済規模に応じてそれぞれの国がその責任を果たしていくということだ。それぞれの国が責任を果たしていくからこそ、お互いが信頼し合って、自分の国以外が侵略された際も自国の兵士が命を賭けてその国を守るという絆に繋がっていく訳です。自らの国を守るために努力をしていない国のために手を差し伸べる、命を賭ける国は世界中どこにもないんです。その根拠になるのがGDP比。経済力に見合った努力をしていくということをお互い示し、合わせてその努力をしっかり結実していくことによってNATOの結束が保たれているんだろうと思います。翻って日本も日米同盟を考えていただきたい。日米同盟といえども日本が努力していないのにも関わらず、米国が果たしてしっかりと防衛義務を果たすかどうか。民主主義なので、当然、米国も世論の支持がなければ米国の若者達は命を賭けないだろうという現実を見据えないといけない。今、スタンダードがGDP比2%以上を達成するという目標を国家意思として示すことが求められているんだろうと思います。『積み上げじゃないか』と言う人がいるんですが、では『今まで積み上げてきたのか』ということを聞きたい。夏の概算要求はシーリングがあるじゃないですか。ちゃんと積み上げていれば弾の数だって、ミサイル防衛の数だって足りていたはずですが、圧倒的に足りてないです。骨太の方針に書いたからには結果を出していく必要があるんだろうと思う」