来年の参議院選挙まで1年となりました。7月28日に改正公職選挙法が成立し、来年の参院選から、新潟、宮城、長野の2人区が1人区に定数減となるとともに、「島根と鳥取」、「徳島と高知」が合区され、それぞれ1人区になります。憲政史上初めて参院の選挙区が県をまたぐことになります。

 私はこれまで都道府県単位の選挙区を維持するよう訴え、合区に反対してきました。「人口が少ないから」と隣県と一緒の選挙区にしてしまえば、地方の議員は減ってしまいます。人口減少が進み、地方の活性化が叫ばれている中で、地方の意見を政治に反映する必要性は高まっていると思います。

 さらに、県境を越えて選挙区をつくることは、都道府県という枠組みで民意を集約する仕組みを辞めることになります。私たちは日本国民としての意識と共に、都道県民という意識も持っていると思います。衆院の小選挙区は人口比例で区割り是正に取り組んでおり、全国民の意見を均等に反映することを目指していると言えます。であれば、もう一院は別の単位での意見集約を図ることが必要で、都道府県単位の選挙区は意味があったと思います。

 都道府県単位の選挙区に固執しないのであれば、民意を集約する別の単位を考える方法もあろうかと思います。しかし、「この県は人口が少ないから」と機械的に隣県と一緒の選挙区にしてしまえば、合区された選挙区の範囲で民意を集約する合理性はどこにあるのでしょうか。各都道府県を代表する議員と2県を代表する議員。そうした人が混在する参議院には何が期待されているのでしょうか。

 理屈は山ほどあります。ただ、参議院の自民党会派は過半数までに8議席足りません。自民党以外の全党が合区の導入を主張しました。2合区案が否決されれば、20県を10選挙区にする案が成立しかねない状態に陥りました。私は2合区案に賛成票を投じました。合区の対象となった仲間は採決を前に議場を出て行きました。こうした事態を防げなかった力不足が残念でなりません。

 党執行部は合区案をまとめるに当たり、「将来的には憲法改正で国の形を変えていくことが基本だが、来年の参院選までには間に合わない。そういう中で、各県の代表を確実に出せるように、執行部として責任をもって対応したい」と明言されました。この約束が果たされるよう、力を合わせて努力していきます。私は憲法改正を通じて、衆参両院の役割を明確化し、人口に合わせた議席配分の院と、自治体(地域)ごとに議席を配分する院とにすべきだと考えています。

■現状で定数削減を進めると・・・

 選挙制度の改正に合わせ、参議院も議員定数を削減すべきとの指摘もあります。自民党でも比例代表の定数を減らしてはどうかとの意見がありました。ただ、他のすべての党は比例の定数を切ることには反対です。現状で参議院の定数削減を実現するには、都道府県単位の選挙区の定数を切るしか選択肢はありませんでした。最高裁が一票の格差是正を求めている中で、選挙区の定数を削減するということは、イコール地方の議席を切ることです。

 これは私が考える理想とは真逆の姿です。私は自民党が参議院で過半数を割っている現状では議員定数の削減はやるべきではないと判断しています。もちろん、違う考えの方もいらっしゃいます。国会議員は全国民の代表だから、仮に地方の議員定数が減っても大都市出身の議員が地方の課題にも思いを馳せ、政策を立案するはずだと仰る方もいます。この見解の相違が参院選の合区をめぐる意見の対立につながっています。