きょう(3月20日)の参議院本会議で平成26年度予算が成立しました。この3週間、私は連日、参議院の予算委員会に出席しました。予算の中身、議論の内容に関しては多くの報道機関が論評しているので、今回このブログでは審議の仕組みについて書きたいと思います。

 予算委員会では質疑が各党一巡するまでは内閣総理大臣以下、すべての閣僚が出席するということは以前にも書きました。

20131022日付】http://ameblo.jp/yuhey-yamashita/entry-11647883118.html

 質疑が一巡した後は、総理は出席せず、予算を担当する財務大臣と質問者が指名した閣僚だけが座るので、閣僚席は空席の方が多くなります。総理大臣が出席しない委員会はNHKによる生中継はありません。テレビ中継の時だけ審議していると思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、中継がなくても予算委員会は連日開かれていました(インターネットでは審議を見ることができます)。

 野党にとっては政府を追及する場面をテレビで流してもらい、有権者にアピールしたいという思惑があります。しかし、質疑が各党一巡した後は原則テレビ中継はないことになります。そこで使われるのが「集中審議」という手法です。喫緊の重要課題について、総理大臣と関係大臣を呼んで集中的に予算委員会で取り上げるもので、総理が出席するのでNHKが中継します。このため、野党は活躍の場を求め、たびたび集中審議の開催を求めてきます。

 ただ、国の重要課題は尽きることがありません。野党の求めにすべて応じると、総理は国会審議にずっと張り付きになってしまい、他の仕事ができなくなります。基本的に与党は総理を拘束する集中審議の開催には後ろ向きです。ここで与野党の取引が始まります。

 政府・与党は、国民の利益に資するよう、予算や法律を早期に成立させることが仕事です。今の与党は衆議院でも参議院でも過半数を握っているので、すぐにでも採決して成立させることができます。ただ、野党が納得しない段階で無理矢理に採決(強行採決)をすると、「数の横暴だ」と反発されるため、なるべく穏便に、しかし迅速に、採決まで持って行くことに与党は汗をかくことになります。与党は集中審議の開催を一定程度受け入れる一方、迅速な審議や採決に協力するよう野党と交渉するわけです。

 今回の予算審議では参議院だけで5回計27時間の集中審議が行われました。建前上は喫緊の課題があるから開催しているわけですが、テーマから外れた質問を延々とする野党議員もいます。3月14日は「経済財政、行政改革、歴史認識」をテーマにした集中審議だったはずですが、行政改革を所管する稲田朋美大臣にはほとんど質問せず、「何のための審議なんですか」と稲田大臣が憤慨されていました。

 国会改革の機運が高まり、総理大臣を国会に張り付けにする慣習の見直しに向け、与野党が協議しています。私は参議院の予算審議にすべて出席しましたが、答弁の機会がない閣僚が何時間も座っている姿を目の当たりにしました。国会のルール・慣習は与党だけでは変えられません。おかしなルールはすぐにでも改め、総理だけでなくすべての閣僚が存分に働ける体制をつくるべきだと思います。これは政府・与党にとって望ましいだけでなく、野党が将来、政権を獲った時にも必要になるはずです。