憲法改正について。私は現在の憲法は改正する必要があると考えています。論点はたくさんありますが、最優先すべきは前文と43条だと思います。

◇前文

 前文には「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とあります。平たく言えば「外国の方々は平和を愛するいい人ばかりなのだから、外国を信頼しておけば、日本は大丈夫だよ」ということでしょう。しかし、今の日本の周辺諸国を見渡して、本当に平和を愛する国ばかりと言えるでしょうか。日本の領土は守られていますか?ガス田を含め、我々の権益が侵されようとしていないですか?日本を攻撃してくる国はいないと言い切れますか?

 
ことさら外国を敵視し、危機感をあおるつもりはありません。性善説に立つ憲法前文は道徳的で理想的であると思います。しかし、現実の国際情勢とあまりにもかけ離れていると言わざるをえません。最悪の事態を想定し、備えをした上で最善を祈ることが政治の要諦だと私は思います。国の守りをしっかりしつつ、外交交渉で他国との利害調整をすべきです。こうした点で、憲法前文は改正すべきだと考えます。

 
さらに、日本国憲法では31条、39条で罪刑法定主義を謳っています。法律が禁じる悪いことをした場合、処罰されるわけです。「司法官憲」という表現で強制力を持つ警察の存在も明記されています。つまり、日本国民の中には悪いことをする人がいるかもしれないから、ルールを逸脱した場合は強制力を持った警察が出てきて逮捕するし、留置場に入れられることもあるという仕組みになっているわけです。

 
憲法上、外国の方々に関しては性善説を唱え、自分の国民については性悪説を基に条文が構成されているのは如何にもバランスが悪くないでしょうか。私は憲法前文を優先的に改正しなければいけないと主張しています。

◇43条
 一票の格差訴訟も憲法が根拠になっています。人口の多い都会の人の一票と、人口の少ない田舎の人の一票は重みが違う。これは法の下の平等に反するから、地方の国会議員を減らして、都会の国会議員を増やせ、という訴訟です。

 
そこで問題になるのが43条です。「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」とあります。衆院も参院も「全国民を代表する」わけです。県民を代表するわけでも、市民を代表するわけでも、ましてや国土を代表するわけでもないのです。だからこそ、人口に比例して選挙区の範囲を決めるべきだ、ひいては地方の議員を減らし、都会の議員を増やせとなるわけです。

 
しかし、現在でも区議会議員の選挙区より国会議員の選挙区の方が狭いところもあります。選挙区によっては人口は少ないけれど、面積が広かったり、離島がたくさんあったり、中山間地だったりと行政需要が多いところもあります。人口だけで議員定数を割り振ることが理にかなうのか非常に疑問です。

 
私はたとえば、参院の議員定数を人口で均等に割り振るのであれば、衆院は各都道府県ごとに同じ数だけ割り振るなど、一方の院を人口比例、もう一方を地理的要件も加味した議員定数配分にしてはどうかと考えています。自民党の憲法改正草案では47条に「選挙区は、人口を基本とし、行政区画、地勢等を総合的に勘案して定めなければならない」という下りを入れ、加憲する形で43条を修正しています。私もこのような改正案を実現していく必要があると考えています。