先日、発展途上国で国際協力をしているNPOにお邪魔しました。ミャンマーやタイなどで学校建設や水道・道路の整備などを支援なさっています。こうした方たちと話をしていると、政府とNPO・NGOの使命について考えさせられました。


 途上国で飢えに苦しむ人々や紛争から復興しようとしている国々に対し、日本政府もNPO・NGOも同じように支援に動いています。両者を比較すれば国家が前面に出た方が法的に強力で資金面も豊富かもしれません。では、日本をはじめ各国が十分な支援ができているかと言えば、そうではないと思います。


 民主主義の国では意思決定にある程度、時間がかかる上、必要とされている資金規模のずっと少ない額しか拠出しないこともあります。資金協力をするにしても、人を海外に派遣するにしても、国民の税金を使うわけですから慎重に判断するのは当然です。こうした点を考えれば、お腹をすかせている子供や、寒さに震えている人を今すぐに救うには、機動性のあるNPOやNGOの方が優っている場合もあるのではないでしょうか。

 

 では、政府は何をなすべきなのか。もちろん、国家として外国で苦しんでいる人に手を差し伸べることは大切です。加えて、将来にわたり飢える人がいなくなるように、世界中の人々が安心して暮らしていけるように、国際的な枠組みをつくっていくこと、国際社会の仕組み自体を変えていくことが政治・政府の役割だと思います。


 私自身のことを言えば、自分が外国に行って苦しんでいる人を直接助けたり、井戸や水道をつくったりすることはできそうにありません。しかし、政治を志す者として、日本国・日本国民の利益に適うよう努力するのは当然ですが、利己主義や独善に陥らず、世界各国の人の未来にも思いを馳せる視野を持たなければならないと考えています。