街人の話し2 Masa



才能溢れるMasaという人がいた。


Masaは裕福な家の長男として産まれた。体が弱く、大病も患い、家で過ごす時間も多くあったが、頭も良く、本が好きだった為、退屈することなく、勉強をしたり、多くの本に親しんだりしていた。

また、大変、絵が上手かった。様々なコンクールで入賞し、新聞にも掲載されていたそうだ。


年頃になり、進路を決める時期となった。美術大学への進学を希望したが、父親はそれを許さなかったそうだ。しかし、諦めることができなかったMasaは、家出同然で上京したそうだ。


親とは、音信不通で過ごしていた。親の反対を受けていた大学生活は、決して楽ではなかったようだが、友人とルームシェアをし、生活費はアルバイトで稼いだ。卒業した後は、大手の出版社へ就職することができたそうだ。


出版社で働いて数年経った頃、父親が他界した。

気が弱った母親は、Masaに帰ってきて欲しいと伝えた。しかし、実家では姉夫妻が暮らしており、Masaは自分の居場所はないことを伝え、帰らないという選択をした。

しばらくすると、母親の親戚が、実家へ戻るようMasaを説得をしにきたそうだ。

しかし、Masaの考えは変わらなかった。仕事が順調に進み、フランスへ行くチャンスが巡ってきたことを伝えた。

それを聞いた母親と親戚は、ますますMasaを説得することに力をつくした。


数ヶ月後、Masaはフランス行きを蹴り、実家に戻っていた。


実家に戻ってきたMasaは、家業をついで、慣れない林業と漁業を行うことになった。小売業は、既に長女夫妻が行っていた。しかし、長女夫妻が引き継いだ小売業は、上手くいかず、多額の負債が生まれた。


都会の生活に慣れていたMasaにとって、田舎の暮らしはつまらない物だった。

実家には、既に長女夫妻が暮らしていた為、心が休まらなかった。自分の居場所ではないと感じていた。

そんな中、長女夫妻が継いだ小売業で生じた多額の負債を、あろうことかMasaが支払うことになったのだ。

長女夫妻は、自分達では1円も返済を行わなかった。


何の為に、帰ってきたのか。


Masaは、そう思わずにいられなかった。

長距離トラックの運転手、養蜂業、林業、漁業、お土産の販売、健康食品の営業など、何でもやった。そして、ついに多額の借金を全て返し終えたのだ。


数十年が経ち、Masaは、亡くなった父親と同じ年齢になった。仕事は行っているが、忙しなさから離れ、自分のペースで働いている。


毎晩、テレビも観ず、本も読まず、豪華な食事を取るわけでもなく、ロト6の番号と何時間も向き合っている。



とある街の街人から聞いた噂話しだ。