第1回「アオアシ奨励金」の最終選考が3月初旬に行われました。

 

 

100名近くの応募者の中から、love.fútbol Japan(ラブフットボール・ジャパン)によりまず最終選考者30名に絞っていただきました。

 

 

その中から僕と、現役Jリーガー3名、女子プロ選手1名、love.fútbol Japanの代表加藤さんの6名でzoom会議を行い、奨励生を決定することができました。

 

 

正直な話ですが、選考は非常に難航しました。

 

 

最終選考者である子供たちと、その保護者のかたの切実な訴えが、どの応募書類にも埋めつくされて書かれてあったからです。

 

 

覚悟して実行したことではありましたが、いざその家庭さまざまの困窮を目の当たりにしたとき、僕は非常に動揺しました。

 

 

選考に加わったプロ選手の方々も、全く絞ることができない様子でした。

 

 

サッカーの試合で誰を出すか、誰がメンバー外になるか。それは監督の基準で実力が足る順に決めていきます。

 

サッカーでは当たり前のことで、正しい選考だと思う。でもそれはサッカーの試合だけの話だと。

 

 

人道的な問題であるここに、◯と×をつけていくのかと。

 

 

けれど奨励金として応募者を募ったのだから、成立させるために選考しないといけません。

 

 

シーズン中で、その週にも試合を控えるプロ選手のみなさんでしたが、正面からこれを受け止めて、僕と同じく葛藤しながら決めました。

 

 

何不自由なくサッカーが続けられるということが当たり前ではないということを、心の奥まで深々と刺さり、向き合える期間でした。

 

 

第1回アオアシ奨励生に選ばれた皆さんは、すでに奨励金を受け取り、各々のシーズンに踏み出しています。

 

 

先述のプロ選手たちに、子供たちが、直接報告できるオンライン会も4月に実施されました。さまざまな喜びの声があったようでした。

 

 

自分にできることは些細ですが、実施したことは本当に良かったことだと確信しています。

 

 

このアオアシ奨励金を、大きな熱意で実現へと突き動かしてくれたlove.fútbol Japan(ラブフットボール・ジャパン) 様に、改めて心から感謝します。

 

 

 

小林有吾

 

 

 

 

 

「アオアシ」の作者、小林有吾です。



このたび「アオアシ奨励金」を開設させていただきます。

 



作品を発表する何年も前から、井上雄彦先生が作品の収入の一部をもとにした「スラムダンク奨学金」なる試みを続けておられ、作品発表だけでなくそういった形で競技者の力になろうとする姿勢に感銘を受けていました。 

 

 

サッカー漫画を描くことになり、いま今日まで作品を続けることができ、同じようなことができないかというのがずっと頭の片隅にありました。

 



「アオアシ」の主人公アシトの家は母子家庭で、サッカーを続けることによる家庭の経済的負担の問題がクローズアップされます。他にもアシト以上に壮絶な境遇である阿久津、人種差別的な問題に子供の頃から晒されるトリポネなど、サッカーを続けることが困難なたくさんの選手を無意識のうちに描いていました。

 

 



それはきっと僕自身も母子家庭で育ち、今考えると確かにお金がない環境だったからだと思います。ただ僕の母親は子供にそれを感じさせないようにいた強い母親でした。漫画を描くことに僕がのめり込んだのも、紙と鉛筆さえあればずっとできるものだったからです。

 

 



でもサッカーは、高いレベルで続けようとすればするほどお金がかかります。スパイクはすり減り、サイズは合わなくなり、練習着ユニフォーム一式を揃えなければいけません。試合をしに遠征費を払わなくてはいけません。

 

 

 



子供にサッカーを続けてもらいたいと思っても、限界を感じ思い悩む親はいま日本中にいると思います。

 

 

 



そんなとき、元愛媛FCの森谷賢太郎選手(2022年現在サガン鳥栖所属)に、love.fútbolという、スポーツを続けたい子供たちの貧困の問題に立ち向かっている方々をご紹介いただきました。 

 

 

その方々の大きな協力を得て、今回「アオアシ奨励金」を開設させていただくことになりました。




もちろん毎年ずっとこの試みを続けたい気持ちがあります。でもどのような形でサッカーに寄与できるのか、これが本当にたくさんの方々を救えることになるのかを見届けるために、まずは2023年度の1回を募集させていただきます。




love.fútbolと共に活動する多くの現役Jリーガーの方々と力を合わせ、これが大きな成功となれば、ぜひ続けていきたいと考えます。




思い悩む家族の力になれたら、幸いです。


漫画家 小林有吾

 

 

 

 

【応募概要については下記リンクより、「アオアシ奨励金特設」特設サイトをご覧ください。】

 

アオアシ奨励金特設サイト

 

 

 

2023年シーズン、愛媛FCのユニフォームスポンサーになることを決めました。

 

 

 

 

ふだん大したことを書かないブログなのですが、毎年この時期は愛媛FCのことを書く機会が多く、今年もそうなりました。

 

 

どこまで書いて良いのかわからないのですが、全く何も思ったことを言わないのも良くないので、ここで書かせてもらいます。

 

 

愛媛FCで自分が直接関わって話すのは田村さんだけなのですが、去年の暮れ、その田村さんに「長年協力してくれたスポンサーさんが残念ながら離れることになった」という話を聞きました。

 

 

自分としても、観るのも辛いような21年シーズンがあって、これまで応援してきたチームが根底から弱さに覆されたあとに訪れた22年はこれまでとは違った思いで試合を観ていました。

 

 

どこか静まった感覚というか。そんな感じです。

 

 

だから、離れる人たちの気持ちもわかります。

 

 

どうしても発信が少ないクラブでしたので、サポーターはこの低迷について何が起こってるのか正確に理解できず、辛すぎる時期を過ごしたと思います。

 

 

だから僕も、22年シーズンは「静かに観ていた」というのが正直なところです。

 

 

でもやっぱり勝てば嬉しいし、点を決めれば相変わらず飛び上がるし。このチームに来てくれた、最初誰だかわからない若い選手もあっという間に顔を覚えてしまいます。

 

 

ホームの伊予決戦なんて、最高の作品でした。楽しかったですよね。

 

 

忙しくて観戦なかなか行けなくなったけど、DAZNで毎試合観るし。カタール行く前日がシーズン最終の福島戦だったので、結果をわざと知らないようにして東京のホテルで観たりしました。

 

 

やっぱり愛媛FCが好きなんだと思います。

 

 

良いことで言えば、クラブハウスができました。

 

 

20年以上もこの愛媛で誰も実現できなかったことを、村上社長が自身の血肉を注ぎ込んで、強行突破で完成させてくれました。感謝しかありません。嬉しいので、意味なく土手の上から見にいったりしてます。(午前は寝てるので選手の練習を見れたことはただの一度もないけれど…)

 

 

新設のクラブハウスの中には広いお風呂が完備されていて、選手はオフでもクラブハウスに通って疲労回復できています。

 

 

真新しい天然芝によって身体への負担は一気に減りました。去年は様々な選手が試合に出れてスタメンを賑わせてくれたと思いますが、クラブハウスが新設されたことで怪我人が少なくなったからというのは大きいです。

 

 

昼はトップ、夜はアカデミーの使用によって1日中酷使され、メンテナンスの隙もなかった梅津寺の人工芝はヘタってボロボロで、それまでの選手は大変だったのです。今はアカデミーの使用にほぼ絞ることができ、アカデミーの環境すら良くなりました。(トップとアカデミーそれぞれに専属の練習場が用意されるようになったわけで、Jクラブでも珍しい好環境です)

 

 

「今までの愛媛FCでは来れなかったけど、この設備が整った今なら大丈夫」と思える選手が愛媛FCを選択肢に入れてくれるようにもなりました。

 

 

クラブハウスができたことは、愛媛FCにとって大きな転換期とも言える大きな出来事でした。

 

 

また、映像などで情報発信できる方々をクラブが外から呼んで、クラブの中の形が見えるようになりました。

 

 

前衛的な人々が外からクラブに入り、少しずつ風通しを良くしていってます。

 

 

15年も応援してきて、良い方向に向かおうとしてるのを感じます。

 

 

でも一方で、困難な部分は残ります。

 

 

年間通してサッカーに勝ち続けるには、クラブが1枚岩になって強力に推進するしかないけれど、それが簡単でないことも理解しないといけない。

 

 

降格の責任をうやむやにして続ける者もいる。

 

 

低迷したことでクラブが一度失った信頼を取り戻すのは非常に困難であり、サポートから去っていった人たちの気持ちはやはりわかる。

 

 

ここはJ3であり、これより下はないことを考えられる選手でなければいけない。

 

 

どのチームも人生を賭けてくるJリーグにおいて、理屈もなく勝ち続けるのはあり得ない。それが構築できたチーム上位2位だけが幸せになる図式は、やはり簡単なものではないと多います。

 

 

この苦境にあっても見捨てず、アウェイにまで駆けつけるサポーターには変わらず尊敬の念しかありません。

 

 

 

僕自身のことで言えば…自身の作品がJリーグのユニフォームにつくことは夢の1つではありました。

 

 

作品のことを考えたとき「今しかできない」というのもありました。

 

 

だからと言って、いち漫画家に即決できるようなものではありませんでしたが、最後は決めました。

 

 

今年はユニフォームに居て、見届けることにします。

 

 

 

必ず、反撃のときは来ます。

 

 

 

今年も、頑張りましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今年も健太さんと会いました。

健太さんを鳥栖に招聘した小林祐三さんと共に。 

 

 

たくさん鳥栖のことを話しました。

 

 

神谷優太選手の話をしました。 川村拓夢選手の話をしました。 

 

 

鳥栖サポーターの皆さん。23年も川井サッカーを楽しんでください。

 

 

 

 

こんなにも僕は、メッシのことが好きだったのかと気づかされました。

 

世界中の多くの方が同じことに気づいたのではないでしょうか。

 

ありがとうカタールワールドカップ。

 

ワールドカップは、素晴らしい。