フォークリフト事故の現状と制度の問題点について
フォークリフトによる事故は、年間2,000件以上も発生しており、そのうち約30件は死亡事故にまで至っています。昨年も、私の住む千葉県流山市で痛ましい死亡事故が発生しました。
事故が減らない背景には、教習制度の問題、そして国家資格としての運用体制の甘さがあると私は強く感じています。
教習時間の「数字のマジック」
フォークリフトの免許は国家資格であり、「実技教習24時間以上」と定められています。一見すると十分な時間に思えますが、実態は大きく異なります。
自動車免許の場合、30時間以上の実技教習があり、多くがマンツーマン指導で行われます。仮免許制度を経て路上教習に進むという、段階的な安全教育が徹底されています。
一方フォークリフトは、1台の車両に6〜10人がグループで受講します。実際に運転する時間はごくわずかで、見学時間までも「実技時間」としてカウントされています。その結果、実際に運転しているのはせいぜい4時間程度に過ぎないのが現実です。
合格率95%という異常値
さらに問題なのは、合格率の高さです。フォークリフトの免許取得率は95%以上。自動車免許の合格率が約75%であることを考えると、明らかに異常な緩さと言えるでしょう。
教習所は営利事業として運営されており、「受講料をもらっている以上、免許を発行しないといけない」という矛盾した圧力も存在していると聞きます。結果として、学科・実技ともに基準が甘く、技能が不十分なまま現場に出てしまう人も少なくありません。
命を預かる現場なのに、取り締まりも罰則もない
実際の現場では、1トン用のフォークリフトに1.5トン以上を積んで走行するなど、危険行為が日常的に行われています。一時停止を守らず、周囲の安全確認をせずに飛び出すような事例も珍しくありません。
しかし、こうした違反行為に対しては、取り締まり制度も罰則規定も存在していません。これは、自動車であれば考えられない状況です。
命に関わる現場だからこそ、制度を見直すべき
フォークリフトの操作は、命を預かる行為です。現場では他の作業員も多数働いており、その安全は運転者の判断にかかっています。
私は、「危険な操作をする人には、繰り返し指導を行うべきだ」と思っています。そして、それでも改善が見られない場合は、免許を与えるべきではないとも考えています。
私たちは今、現場の安全を守るために、そしてこれ以上の犠牲者を出さないために、制度の見直しと国の厳正な対応を求めるべき時に来ています。
どうか、この現実を多くの方に知っていただきたい。フォークリフト事故は、決して他人事ではありません。